2023年1月号記事

ニッポンの新常識

軍事学入門 30

中国の新指導部が始動

習近平はこれから本気を出せる

社会の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」について専門家のリレーインタビューをお届けする。

台湾国防安全研究院
国家安全研究所所長

沈 明室

沈明室
(シェン・ミンシー)台湾国防大学で政治学博士号を取得し、2021年より現職。淡江大学国際事務與戦略研究所准教授も兼任する。元台湾国防大学戦略研究所所長。人民解放軍の研究などを行う。

中国共産党の指導部である政治局のメンバーが24人選ばれるなど、10月下旬に新しく始動した習近平指導部。その顔ぶれを見ると、いくつかの特徴が読み取れます。

最大の特徴は、「忠誠心が高い人物」が選ばれたことです。その象徴が、序列2位の首相に選ばれた李強氏です。同氏は能力が高くなく、前任者の李克強氏とは異なり、実務能力もありません。序列6位に抜擢された丁薛祥氏も「習派」の一人ですが、経験不足が否めません。習氏は60歳と比較的若い彼を教育し、「後継者候補の一人」にすると考えます。

そして日米台は、序列4位の王滬寧氏の動向を注視すべきでしょう。彼は、中国人民政治協商会議主席に就き、「統一戦線工作」を一括に統制し、日本などの世論に影響を与えようとするはずです。

さらに注目すべきは、トップ7から「経済に強い人物」が不在になったことです。恐らく経済音痴の習氏が司令塔を担うと見られ、経済の先行きは明るくありません。