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アメリカ航空宇宙局(NASA)はこのほど、小惑星に探査機をぶつけて軌道をそらす実験に成功したと発表しました。人類が、天体の動きを変化させたのは初めてのことです。

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NASAは先月26日、小惑星の地球衝突を回避させる世界初の惑星防衛システムの実証実験で、地球近傍の小惑星「ディディモス」の周りを公転する直径約170mの衛星「ディモルフォス」に、探査機「DART」を衝突させました。

NASAは衝突から2週間にわたりデータ収集と分析を続け、今月11日に「DARTがディモルフォスの軌道を変えることに成功した」と発表。「ディモルフォス」の周回周期が32分短くなっていることが分かりました。

当初、DARTミッションを「成功」と位置付ける基準として設けられていたのは、「周回時間を73秒以上変えること」でした。DARTの衝突後、NASAは「最大で10分近く周回時間が変わるかもしれない」と予測しましたが、実際の観測結果は想定を大幅に上回るものだったことになります。

NASAのビル・ネルソン長官は、「私たち全員には、故郷である地球を守る責任があります」「NASAは、自らが真剣に地球の防衛者となろうとしていることを証明しました。これは惑星防衛と全人類にとって分岐点となる瞬間であり、NASAの優れたチームおよび世界中のパートナーのコミットメントを示すものです」と語りました。

さらに、NASAの惑星科学部門責任者であるロリ・グレーズ氏は、この結果は「こうしたサイズの潜在的に危険な小惑星をかなり前に発見できれば、軌道変更が可能であることを示した」と述べました。

一方で、今回、探査機が衝突した天体は、約6600万年前に地球に衝突し、恐竜などを絶滅させたとされる小惑星と比べると規模が小さいものです。

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