《ニュース》

アメリカのナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問への対抗措置として、中国軍が4日から7日までの予定で、台湾周辺で軍事演習を行っています。台湾に近い与那国島は演習に関する情報が前日まで得られず、緊張と困惑が広がりました。

《詳細》

軍事演習は「重要軍事演習行動」とされ、台湾を取り囲むように6カ所の海・空域で実施され、実弾射撃なども行います。対象エリアには台湾の領海のみならず、日本の排他的経済水域(EEZ)も含まれており、中国は、期間中は演習を行う空・海域に船舶と航空機が進入しないよう警告しています。

台湾からおよそ111キロメートルの位置にある与那国島の漁業協同組合には、演習が行われる区域について海上保安庁から3日13時に連絡が入りました。それによれば、与那国島の北西64キロと波照間島の南西60キロの区域で射撃訓練が予定されており、波照間島南西の区域は漁船が普段操業する場所から30キロメートルしか離れていません。

漁協では急遽、漁業関係者に情報を電話で知らせる、資料を配布するなどして注意喚起を行いました。

一方、与那国町によれば、3日16時の時点で政府・防衛省や県から中国軍の軍事演習に関する連絡は入っておらず、インターネットのニュース記事を見て情報を収集せざるを得なかったとのことです。危機管理を担当する総務課職員はNHKの取材に、「自治体レベルで対応できることではないので、今はとにかく情報がほしい」と話しています。

なお、松野博一官房長官は3日の記者会見で、中国側の軍事演習に対し「対象地域の海域には、我が国のEEZが含まれている。実弾射撃訓練という軍事活動の内容も踏まえ、中国側に対して懸念を表明した」と話しています。

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