「3.11震災は日本のすべてを変えたが、何も変わっていない」。そんな痛烈な書き出しの記事が21日付英紙フィナンシャル・タイムズに出ている。何が変わらないかというと、政治の悪さだという。以下、要約抜粋。

・今回の天災と原発事故は、日本が抱える切迫した諸問題を解決するどころか悪化させている。つまり、統治の脆弱さ、政策の生産性の低さ、経済成長の弱さ、国家債務の増加などだ。

・もちろん日本人は今回の災害で立派な面も見せた。被災者たちは冷静に規律正しく振る舞い、国内では多くの義援金が集まっている。東北地方の工業生産が止まったため世界の製造業が部品供給で影響を受け、日本経済の重要性が世界中で再認識された、等々。

・災害直後は国民が挙国一致を望み、政治が生産性を高めるかに見えた。だが菅首相は先週、同じ民主党の小沢氏から「リーダーシップを果たしていない」と批判され、自民党の谷垣総裁からは「今の政権が続くことは国民にとって不幸の極み」とされた。

・地震と津波は国民が本物の結束を固めるチャンスだったが、首相の原発事故対応のまずさで無駄になった。日本の首相は例の如く、回転ドアのように交代するかもしれない。日本開発銀行の副総裁を務めた緒方四十郎氏は言う。「日本は軍隊にたとえると、兵隊は優秀だが指揮官が駄目なんだ」。

英国人記者には菅首相のリーダーシップの欠如が目を覆うばかりに見えているようだが、事実なので否定できないのが日本人として情けない。09年の衆院選で民主党を後押ししたマスコミの責任と、そのマスコミ報道に乗って民主党に政権を取らせた有権者の不明が、めぐりめぐって日本人の身に及んでいる面も大きい。一朝一夕には行かずとも、日本の政治をよくするための努力を粘り強く続けるしかない。(司)

※現在、デイリーニュースクリップは無料でお読み頂けます。近日中に有料購読に移行予定です。


【4月21日分ニュースクリップ一覧】
ぜいたく規制するも高級品を買いまくる中国人のたくましさ
OECDよ、お前もか~海外からも消費税アップを提言
フィリピン「米国と日本以上に頼りになる友はいない」
アトピー性皮膚炎を「心の力」で治す
金先物が史上初の1500ドル台へ