2020年3月号記事
幸福実現党 党首
釈量子の志士奮迅
第88回
幸福実現党党首
釈量子
(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
香港、台湾に続き沖縄は目覚めるか
「昨日の新疆、今日の香港、明日の台湾、明後日の沖縄」
昨年から今年にかけて、この言葉をなぞるように、中国への危機感がアジア各地に広がっています。
新疆ウイグル自治区については、習近平・中国国家主席が人々への「無慈悲」な弾圧を直接指示したという、いわゆる「新疆文書」がリークされました。
同じ運命を辿りたくないとして、香港の人々は命がけのデモ活動を展開しています。
その姿を見た台湾の人たちも危機に目覚め、年初の総統選では蔡英文氏を圧勝させました。
中国の覇権主義の拡大に対して、アメリカは価値判断を明確にしています。「香港・人権民主主義法」を成立させ、「ウイグル人権法」の成立に向けて動いています。
そんな中で問題となるのは、日本、沖縄の姿勢です。
香港に"同情"する沖縄
1月14日、私は沖縄の石垣島で開かれた「尖閣諸島開拓の日」式典に参加しました。
そこでは中山義隆・石垣市長が、2019年における尖閣周辺の接続水域・領海への中国公船の侵入回数が過去最多になったことへの強い懸念を示しました。
安倍晋三首相は同年6月、大阪市内で習氏と首脳会談をした際に、「日中関係は完全に正常な軌道に戻った」と述べました。しかし今回の式典においては、「尖閣を見れば、日中関係は過去最悪ではないか」という声も上がりました。
ただ、大半の沖縄県民は、危険が差し迫っている認識は薄いようです。
香港デモに対する中国の弾圧について有権者に尋ねると、「怖いよねー」とは言うものの、自分ごととしては受け止めていないように感じました。
むしろ、地元テレビは、香港デモを反基地運動になぞらえて論じるありさま。つまり、「香港の人々が中国という国家権力に虐げられているように、沖縄県民も日本政府に虐げられている。香港の区議会で示された民意が無視されているように、沖縄の住民投票結果も蔑ろにされている」という論理です。
全体主義国家である中国と日本を同列に論じるのは、自由を求める香港革命の意味や、中国共産党政府のナチスさながらの本性が見抜けていないからでしょう。
〈左〉沖縄県辺野古付近の海岸。〈右〉石垣市にて中山市長と。
アジア有事に備えよ
習近平政権は現在、香港・台湾での手痛い失点が続いています。さらには経済的にも追い詰められ、バブル崩壊が近いと言われています。
「毛沢東超え」を目指す習氏が、それを黙って見ているとは考えられません。国内の不満を外に向け、体制維持のため、大規模な軍事行動に出る可能性は非常に高いです。
中国は「台湾・沖縄を含む第一列島線を押さえ、米軍を近づけさせない」という軍事戦略を描いています。つまり有事の際、最も備えなければならない地域の一つが、日本、特に沖縄なのです。
そんな中、日本は今春、習氏を国賓待遇で招き、国際的に孤立しつつある中国をアシストしようとしています。
かつて中国が丸腰の市民を虐殺した「天安門事件」を起こした時、西側諸国は経済制裁を行いました。一方、日本は首相や天皇陛下が訪中し、制裁解除に道を拓きました。習氏の国賓来日は同じ過ちを招くことになりかねません。
今必要なのは、「自由・民主・信仰」に基づいた価値判断をすることではないでしょうか。