2019年6月号記事
地域シリーズ 広島
ヒロシマからの祈り
智慧によって「核のない世界」を
どうすれば世界から核兵器が消えるのか―。
国際情勢が緊迫する中、広島だからこそ言える、
核廃絶への道筋を探った。
(編集部 小川佳世子、片岡眞有子)
原爆投下という、人類初の惨禍を受けた広島。
雲一つない夏空に一発の原子爆弾が落とされ、半径2キロメートルが焦土と化した。70年は草木も生えないと言われたが、県民は希望を捨てず、復興に力を注いだ。その結果、今では西日本有数の工業都市として栄える。
だが、「世界初の被爆地」としての悲しみが癒えたわけではない。県民の多くが、幼少期から原爆がもたらす惨害を学び、過ちを繰り返さないよう誓う。
一方、落とした側であるアメリカの間違いを冷静に分析することはタブー視されており、かくも非人道的な行為がなぜ行われたのか、疑問を胸の奥にしまい込んだ人も多い。世界に視点を移しても、「核のない世界」を願う広島の切実な祈りは、周辺諸国に裏切られ続けている。
世界から核をなくすために、核兵器の脅威を知る広島がすべきことを考えた。
あの夏の日、人々は何を見たのか
広島の祈りに逆行して広がる核兵器
日本の核保有は独立国として当然の判断 / Interview 国際政治アナリスト 伊藤 貫
世界から核兵器をなくすために広島が果たすべき「使命」