中国メディアや中国人が報道やネット上のコメントで、震災下の日本人のマナーを絶賛していることを先ごろ本欄で書いたが、他の国にもそれが広がっている。やや長いが、いくつか引用したい。

韓国の東亜日報はこうレポートしている(14日付)。

「(都内に住む在日韓国人の)李氏は思った。『これが先進国ということか』。大地震が襲っても、誰一人、大声を出したり泣きわめいたりしなかった。驚くのは(地震発生時に李氏がいた)ディスカウントショップの商品を持ち出す人が一人もいなかったという点だ。買い物客は皆、買い物かごの商品を元の場所に戻し、建物を出た。大地震や大火事が発生すれば、犯罪や略奪、無秩序が横行するという話は、少なくとも日本では“遠い国”の話だった」

中央日報も以下のように報じた(14日付)。

「(被災地のホテルが被災した客に)うどん10皿を持ってきたとき、誰もが他の客の空腹を心配して、後に後にうどんを回す“譲歩のリレー”が続いた。日本全域で人のいない商店で略奪行為があったというニュースはまだ1件もない」

「(南三陸の)最大被害地域では、行方不明者1万人といううわさが出回る。しかし恨みの声は聞こえない。避難所に集まった100人余の住民らはメディアのインタビューに『早く復旧を願うだけ』と“明日”について話す。誰のせいにもしない。足りない水と毛布を分け合って、お互いを慰める感動的な姿が報じられている」

アメリカのCNNも14日、地震発生時、都内にいたコロンビア大ドナルド・キーン日本文化センター所長、グレゴリー・フルーグフェルダー氏のコメントを伝えている。

「略奪という行為は日本では発生しない。我々がこの言葉から受けるのと同じ意味を持つ日本語の単語が存在するかどうかも疑わしい」

中国政府系のニュースサイト・中国網は改めて、「日本国民の質の高さには脱帽だ」と報じ、一つひとつ具体的な例を並べた。「危険の中でも日本国民は法を厳守し、秩序を守る」「手抜き工事によって建物が倒壊するようなことは起こらなかった」などを列挙したうえで、「高いレベルの危機対応能力は、世界の人々の大きな衝撃を与えた」と結んだ。

当の日本人からすれば、当たり前の風景が外国人の目からは当たり前ではない。史上有数の大地震に見舞われ、経済的ダメージは大きいが、日本人への国際的な評価は逆に上がっている。米ウォールストリート・ジャーナル紙が13日付の社説で「不屈の日本」と書いたが、日本の底力はまさに国民の質の高さにあるのだろう。(織)

※現在、デイリーニュースクリップは無料でお読み頂けます。近日中に有料購読に移行予定です。


【3月14日分ニュースクリップ一覧】
東北復興ニューディールと称して増税?
被災地の自衛隊10万人態勢へ ~東日本大震災~
全人代閉幕、インフレ抑制とジャスミン革命の封じ込め
「実力本位の教員査定を」前NY市教育長
アラブ連合が飛行禁止区域設定を安保理に要請
「想定外」の東北沖、地震研究の限界
「心のインフラが重要」~米紙の震災報道から