2017年9月、台湾・台北市内の私邸・翠山荘で幸福の科学グループによる会見に応じる李登輝元総統。

《本記事のポイント》

  • 李登輝元総統が沖縄の講演で、民主主義と自由が中国を変えると語った
  • 幸福実現党の釈量子党首が、李氏サイドに「台湾政策」を手渡した
  • 普遍的な価値観を持つ国が連携して、中国の覇権主義を抑えるべき

アメリカと中国が世界を二分する「米中G2」時代が訪れると言われて久しい。

台湾の蔡英文総統はこのほど、AFPの取材に対し、覇権を拡大する中国への懸念を以下のように示した。

「(中国の覇権主義は)台湾にとっての課題のみならず、地域や世界にとっての課題です。なぜなら、今日は台湾が中国の影響力の拡張に直面していますが、明日は別の国が直面することになり得るからです」「中国を抑制し、民主主義と自由の価値を再確認して中国に、覇権主義の拡大を最小限にするため、私たちはともに民主主義と自由の価値を再確認せねばなりません」

「中国にとって最大の敵は『本当の民主主義』『本当の自由』」

蔡氏の発言に先立ち、台湾の李登輝元総統も中国の覇権主義に警鐘を鳴らした。

李氏は24日、沖縄県糸満市で行われた台湾出身戦没者の慰霊祭に参列。その前日には糸満市のホテルで開催された晩さん会でスピーチ。中国の覇権主義を批判する異例のもので、独裁体制の問題点について次のように述べた。

「民主主義と自由は、人類の文明にとって最も重要な価値観でありましょう。それは同時に、私たちに平和と安定、繁栄と進歩をもたらす基盤となるのです。反対に、中国は民主主義や自由といった価値から遠く離れ、富と軍事力による、かりそめの繁栄を喧伝しています。『偉大なる中国の夢』という言葉で国民を欺き、愚弄している中国政府の目的は、ただただ独裁体制の維持と安定にすぎないのです。多くの中国人が言うように、中国の人々には本当の自由というものがありません。不安と恐怖というものを心の奥深いところに押し込めています」

さらに、民主主義と自由が中国を変え得るとして、このように語った。

「私はここで改めて中国政府に呼びかけます。『台湾は今も、これからも、中国の敵ではありません。中国にとって最大の敵は「本当の民主主義」「本当の自由」でしょう。そして台湾こそ、この「本当の民主主義、本当の自由」の代名詞なのです』と」

「いかにして、中国の人々に永続的な民主主義と自由を与えるか、いかにして中国の人々が永遠の幸福を追求できるか、こうした課題こそ、中国政府が積極的に考えなければならない問題ではないでしょうか。世界の強国になりたければ、それは決して覇権主義の発露ではなく、普遍的な価値観を有する文明の実現によって成されるべきだと思うのです」

独自の台湾政策を訴えてきた幸福実現党

東アジア情勢が緊迫する中、慰霊祭と晩さん会に参加した幸福実現党の釈量子党首は、李氏側に「台湾を国家として承認し、国交正常化を進める」などと記した同党の「台湾政策」(下画像)を手渡した。

現在、日本は台湾と正式な国交を結んでいない。だが、立党以来、国防強化や自由主義国との連携を訴えてきた幸福実現党は、日台関係は外交、国防上の要であると考え、独自の「台湾政策」を打ち出している。内容は、主に3つの柱で構成されている。

  • (1)日本は、台湾関係法を制定し、台湾防衛に関与する。

  • (2)日本は、台湾を「国家」として承認し、国交正常化を進める。

  • (3)日本は、台湾の国際連合への加盟(復帰)を支援する。

釈党首から李氏サイドに渡された、幸福実現党の「台湾政策」。

現総統と元総統が同時期に、民主主義と自由によって中国を変革するという趣旨の発言をしたことは、注目に値する。中国の巨大な軍事力に屈しないリーダーが台湾を導いている今こそ、日本やアメリカ、西側諸国など普遍的な価値観を有する国が連携し、独裁国家による覇権拡大を止めるべきだ。

沖縄の街に掲げられた、「日台の国交回復」を訴える幸福実現党の横断幕。

(片岡眞有子)

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