《本記事のポイント》
- 韓国の野党議員が中国外相と会談
- 中国は最新鋭ミサイル防衛システムであるTHAADの韓国の配備に反対
- THAAD配備中止は米韓同盟の弱体化を意味し、中国や北朝鮮の思うつぼ
韓国国会の最大野党「共に民主党」の議員8人が4日、訪中し、中国の王毅外相と会談した。
中国政府は、議員らを異例の歓待ぶりで迎えた。会談で王外相は、在韓米軍が進めている最新鋭ミサイル防衛システム「最終段階高高度地域防衛(THAAD)」の配備に反対する意向を示した。
中国政府は、早ければ春にも行われる韓国大統領選を見据え、THAADの配備に否定的な「共に民主党」の取り込みを図っているようだ。
この会談について、韓国の外交関係者は、「今、中国政府が韓国外交部(省に相当)を無視し、民主党を歓待するのは、韓国国内での対立を助長し、THAADの配備を撤回させる戦略だ」と懸念を示している(5日付朝鮮日報電子版)。
THAAD配備中止なら、米韓同盟が弱体化
THAADとは、敵国から発射されたミサイルを大気圏外で迎撃するためのミサイルシステムだ。アメリカと韓国は、北朝鮮の核や弾道ミサイルを念頭に配備するとしている。
ただ、THAADのレーダーは、広域モードに切り替えることができる。そのため、中国がミサイルを発射した場合でも、アメリカは早期にミサイル発射を感知できるとされる。そうした理由から、中国はTHAAD配備に強く反発している。
実際のところ、THAADが配備されたからといって、韓国の防衛が盤石になるわけではない。だが、韓国の次期大統領選に共に民主党の候補が選ばれ、THAAD配備が延期または中止されることになれば、米韓同盟が弱まる。そうなっては、中国や北朝鮮の思うつぼだ。
日本にとっても、韓国が中国や北朝鮮に取り込まれることは、国防上の脅威となる。朴槿恵大統領が批判にさらされていることはある意味で自業自得だが、混乱に乗じて親中反米派が勢力を増すことには、日本としても注意が必要だろう。
(山本泉)
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