世界の15歳の学力を調査する「国際学習到達度調査(PISA)」の結果がこのほど発表され、読解力については日本の順位が、4位から8位に低下したことがわかった。

PISAは経済協力開発機構(OECD)が実施している国際的な学力調査で、2000年から実施されている。義務教育が終了するころの15歳を対象に、「読解力」「数学知識」「科学知識」「問題解決」の4つの能力を調査する。

調査が始まった2000年には日本はトップレベルの成績を収めたが、2003年には「PISAショック」と名付けられるほど、順位が大幅に低下。これを機に「ゆとり教育」が見直され、2009年からは、順位が上昇していた。

活字離れの原因は?

文部科学省の国立教育政策研究所は、今回の読解力低下の原因として、生徒間で、インターネット上のSNSでの比較的短い文章のやり取りが増えていることを指摘。「論理的で一定の分量のある文章を読む機会が減っている」とした。

実際に、内閣府による「青少年のインターネット利用環境実態調査」では、1日にスマートフォンを使う時間として「2時間以上」と答えた中学生は、2015年度で48.1%、高校生では66.8%となり、「5時間以上」と答えた高校生も12.5%いた。

「スマホ依存」の子供が増えて読書時間が減り、学力が落ちていることは、子供に限らず大人にとっても一定の警告と考えるべきだろう。

文化庁の「国語に関する世論調査」によると、16歳以上で「読書量が減った」と回答した人は2014年に65.1%を占めた。読書時間が減る理由として、スマホなどの電子機器で時間が取られる、と答えた人は、2009年から14年にかけて12ポイント上昇している。

ついつい、スマホを触ってしまうという人も多いかもしれない。ただ、それによって奪われた「時間」にも注意する必要がある。

大川隆法・幸福の科学総裁は、2009年発刊の著書『日本の繁栄は、絶対に揺るがない』で、インターネットの危険性について次のように述べていた。

インターネットや携帯電話を使っている時間が、かなりあるのではないでしょうか。これらの時間が増えた分、逆に、減った時間、消えた時間があるはずです。それは、実は『考える時間』です。『思索し、考え、思想をつくる時間』が消えています。それから、『判断を下すための時間』も消えています。さらに、もう一つ、消えているものがあります。それは『本を読む時間』です

前出の2014年「国語に関する世論調査」では、「人が最も読書すべき時期はいつ頃だと考えるか」という設問に対し、「10歳代」と答えた人が44.8%を占めた。そして「年齢に関係なくいつでも」と答えた人は20%にとどまり、2009年から14年にかけて5ポイント低下した。本を読まず、スマホに依存する大人の姿を、子供たちは真似てしまっているのではないだろうか。

iPhone生みの親であるスティーブ・ジョブズは、自分の子供にはiPhoneを持たせなかった。また、マイクロソフト社創業者のビル・ゲイツ氏も、自分の子供にパソコンを与えなかったという。彼らは子供への影響をよく知っていたのだろう。便利なものであっても、使い方を見極めることが大切だ。

読書のメリット

読書をすれば、自分が経験したことがないことでも、他の人の人生を生きたかのような体験をすることができる。また、直接会うことのできない偉人の考えに、本を通して触れることができるのだ。深い思索によって生まれた文章は、スマホやインターネットをながめているだけではなかなか出会えない。こうしたより高い価値のある文章に触れることが、学力だけでなく、人生の糧につながる。

大人も子供も読書の価値に再び目を向け、日本人の活字離れに歯止めをかける必要がある。(志)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『日本の繁栄は、絶対に揺るがない』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=118

幸福の科学出版 『心を練る 佐藤一斎の霊言』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1650

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