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アメリカの銃の問題は大人だけではなく幼い子供にも大きな影響を与えている。

先日、ウィスコンシン州で2歳半の男児が銃を誤って発砲し、その母親が死亡してしまうという悲しい事件が起きた。

地元紙によれば、運転席のシートの裏にしまってあった銃が何かのはずみで滑り落ち、男児がそれを拾って誤射してしまったようだ。

亡くなった母親のご冥福を祈りたい。

アメリカでは10歳にも満たない子供が「誤射」してしまう事件が続いている。2016年3月にもアメリカのジョージア州で、2歳の男児が母親のハンドバッグから取り出した拳銃で、自分の腹部を誤って撃ってしまうという事件が起こった。

銃規制に反対する勢力の全米ライフル協会は「銃が人を殺すのではなく人が人を殺すのである」というスローガンを掲げている。とはいえ、しっかりした道徳観を確立する前の子供は自由に対する責任を取りきれるほど成熟してはいない。

アメリカ合衆国憲法には、「人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない」という文言がある。この「銃を保持する自由」については、アメリカの歴史的、文化的な側面から出てきており、ある程度の理解は必要だろう。ただし、2歳児が当たり前に銃に触れられる環境は行き過ぎではないか。

大人が起こす銃乱射事件のような事態については別の考え方や対策が必要である。しかし、子供の銃の問題に対しては、多少自由を奪うような形に見えようとも、こうした悲劇を減らすための適切な規制を行うことは必要だ。

アメリカでは18〜21歳以上(州ごとに異なる)でないと直接銃の購入はできないことになってはいるものの、実際は親が買い与えるケースもあるという。少なくとも未成年者が銃を持つことについて、何らかの措置が必要かもしれない。

アメリカは世界のリーダー国家として、銃を持つ自由に加え、宗教的な価値観や道徳心的なものも含めた社会づくりが必要とされている。規制すべきところは規制しつつ、アメリカの誇りである自由の伝統を保持していくための智慧が求められている。(恭)

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