香港では、中国からの完全な独立を目指す動きが活発化している。今年9月の議会選挙を見据えて、若者らが中心になって「民族自決、香港独立」を目指す「香港民族党」がこのほど設立を宣言した。

香港特別行政区政府はこうした活動家に対して、「香港は譲渡できない中国の一部である」として、「中国からの完全な分離を求める活動に対しては、法的措置もありうる」と脅した。

今回立党を宣言した「香港民族党」の代表の陳浩天氏は3月28日に記者会見を行い、「香港人の利益と香港の確固たる民族意識を守るために、中国における香港の地位を定めた『香港特別行政区基本法』を撤廃し、独立自由な『香港共和国』の成立を目指す」と、立党の理由を述べた。中国メディアは、同党の発足を「血迷った行動」「政治的白痴」と非難した(30日付環球時報)。

中国化が徐々に進んでいる香港

香港の「一国二制度」とは、一つの国(中国)の中で、二つの制度(社会主義と資本主義)が併存して実施されることを指す。

中国は社会主義国であるが、特別行政区である香港では、「1997年から2047年までの50年間は、社会主義政策を実施せず、従来の資本主義制度を保つことができる」としている。しかし、習近平国家主席を批判する本を出版した書店の店員が中国当局に拘束されるなど、香港での言論・出版界への中国からの圧力は徐々に増している。

香港の中国化ではなく、中国の香港化を

このまま香港が中国に吸収され、いま香港が持つ自由を奪われることになれば、新疆ウイグル地区やチベット自治区のように、当局に逆らう勢力が厳しく弾圧されるという未来が待っているだろう。

香港は、国際的に開放され、多くの富が集まるアジアの金融ハブとして繁栄している。こうした香港の繁栄の姿が、社会主義的な考え方に染まっている中国の人々を啓蒙し、中国の改革を推し進める力にもなるのではないか。

1989年に北京で起きた天安門事件では、多くの前途有望な若者が中国政府によって殺された。しかし、2014年に香港で起きた雨傘革命では、世界中のメディアの注目もあり、中国政府は軍隊を出動させることができなかった。今ある香港の自由を守るためにも、日本やアメリカ、台湾などが連携して、中国包囲網を築くことが必要だ。(真)

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