香港で、中国政府を批判する本などを扱う銅鑼灣(コーズウェイベイ)関係者が、次々と行方不明になっている。

銅鑼灣書店の親会社マイティ・カレント・パブリッシングの社員は昨年10月中旬、中国滞在中に失踪し、書店の共同所有者の作家も、同時期にタイの別荘から失踪した。

中国当局に連れ去られた可能性大

12月30日には、書店の株主で作家の李波氏が行方不明になった。3日、李氏の直筆の手紙が妻に届けられ、「自分の意思で中国本土へ行って調査に協力している」「帰るまでには少し時間がかかる」と書かれていた。

「調査に協力」とは、身柄を拘束された時に遠回しに使うフレーズだ。李氏は、香港で中国本土の公安当局に身柄を拘束され、中国本土に連れ去られた可能性が高い。

香港の民主派の何俊仁(アルバート・ホー)議員は、「香港市民は大きな衝撃を受け、愕然としている」と述べた。また、失踪者たちには習近平国家主席の元恋人に関する本を出版する計画があり、それを阻止するために逮捕されたとの見方を示した。

独自の自治権をもつ香港に自由を

香港は1997年、「一国二制度」の原理の下、イギリスから中国に返還された。香港は高度な自治権を有する特別行政区であり、中国本土と異なる政治・経済制度の維持が認められている。

そのため香港では、言論の自由も保障されているはずだ。だが、実際は自由が奪われつつある。中国当局は、香港の反中派の議員やジャーナリスト、経営者などを監視し、公然と言論の自由のみならず、香港の自治権も脅かしている。

加えて中国は、今やアメリカやオーストラリアなどに移住した中国・香港人にまで監視の手を広げているという。

普通選挙を求めて、2014年秋に香港の学生を中心とする「雨傘革命」が行われたことは記憶に新しい。日本や世界各国は香港の人達が自由を守れるよう、協力を惜しんではならない。

また、この事件は今月行なわれる台湾の総統選挙にも影響を与えると考えられる。国際社会は人々の自由を奪う中国の行為を批判し、台湾を中国の支配から守るべきだ。

(山本泉)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『大川隆法 フィリピン・香港 巡錫の軌跡』 大川隆法著

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