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中国の電子取引商大手、阿里巴巴集団(アリババグループ)の創始者であるジャック・マー会長が、香港の有力英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)の買収交渉を進めている。

マー氏は中国政府と近い関係にあると言われている。マー氏が経営権を握ることで、SCMPは中国当局に不利な報道をしにくくなる可能性がある。例えば同紙は、雨傘革命や、天安門事件の追悼式典を大きく報じるなどしていたが、今後はそれも難しくなるかもしれない。

中国当局が他国メディアに介入している例は枚挙にいとまがない。

11月24日付本欄でも指摘したように、中国資本が台湾メディアに介入しており、台湾においても報道と言論の自由が危ぶまれている。

( http://the-liberty.com/article.php?item_id=10538 )

また中国当局は、世界中33のラジオ放送局を影響下に置いているという。そのネットワークはアメリカ、オーストラリアやヨーロッパ諸国を含む14カ国に及んでいる。

例えば、アメリカで15のラジオ局をもつメディア会社「G&E」は、中国資本に60%の株式を掌握されているという。これではG&Eは中国当局の意向を受けざるをえない。これらの報道に伴い、アメリカの連邦通信委員会(FCC)が事実調査を開始するなど、深刻な問題となっている。

中国は、いわゆる「チャイナ・マネー」を用いてさまざまなメディアの経営に参加することで、中国の国益に沿う報道するようメディアに圧力をかけることを狙っている。国益を巡る「情報戦」がすでに世界各地で繰り広げられているのだ。

メディアは価値中立な媒体と思ってしまいがちだが、我々がその情報に接するまでには、伝える側の「意図」が加わっている。私たちは「だれがこのメディアの経営権を握っているのか」「どのような意図をもってこの記事は書かれたのか」ということについて、注意した上で情報に接しなければならない。(瑛)

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2015年11月24日付本欄ASEAN首脳が中国への懸念共有も水面下ではチャイナ・マネーに依存?

http://the-liberty.com/article.php?item_id=10538

2015年11月5日付本欄 世界33カ所のラジオ局の筆頭株主 実は「中国」だった

http://the-liberty.com/article.php?item_id=10425

2014年11月2日付本欄 日本は発信力強化を 中国プロパガンダはネットに投稿で50セントもらえる

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8675