2015年12月号記事

第39回

釈量子の志士奮迅

釈量子

(しゃく・りょうこ)1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から幸福実現党党首。

釈量子のブログはこちらでご覧になれます。

http://shaku-ryoko.net/

経営者が感じる統制経済の足音

アベノミクスという威勢のいい景気浮揚策をぶち上げ、一見、景気を回復させたように見えた安倍政権の経済政策ですが、ここ数カ月は、株価の腰折れに象徴されるように、何だか元気を失っているようです。

その理由を考えてみると、最近の経済政策が社会主義化していることに原因があるように思えてなりません。

最低賃金のせいで給料を上げられない

例えば、「景気を底上げする」という名目で行われた、「最低賃金の引き上げ」です。

ある小売チェーン店の経営者は、「最低賃金が上がって、人件費がかさみ、『頑張っているから時給を1000円に上げてあげたい』という従業員の給料を、上げられなくなった」と訴えてきました。

表面上の平等を追いかけたことで、頑張っている人に報いることができなくなったと言うのです。これでは国民はやる気を失いますし、結局、国民全体の給料も上がりません。

「財政再建」を名目とした「消費税率引き上げ」も、統制的です。売上(税収)が不足しているからと言って、値上げ(増税)をするなどというやり方は、通常の市場経済では通用しません。

そうでなくても多くの経営者は、厳しい競争で必死の努力をしているのに、強制的に税金を巻き上げられるのです。

「経営への打撃が大きすぎる。自助努力の限界を超えている」と嘆く経営者も多いです。

禁じ手の価格統制?

安倍晋三首相は先日、「携帯電話などの家計負担の軽減は大きな課題だ」などと発言し、対策を講じるように指示しました。

「携帯大手3社が、充分に価格競争できていないのではないか」という理由は一見、自由主義的にも見えます。

しかし安倍首相の本音は、「価格を統制して、国民の歓心を買いたい」というものでしょう。

しかも、その首相の発言後、携帯電話会社の株価は軒並み下落しました。

携帯各社にとっては、本当にいい迷惑だったはずです。

大増税の装置になりかねないマイナンバー

マイナンバー制度は、国民を管理する「隷属への道」だ。

極めつけは、マイナンバー制度です。

「課税逃れを防ぐために、しょうがない」「行政手続きなどが便利になる」という名目で導入されました。

しかし、国民全員に「背番号」をつけて管理する制度からは、映画「レ・ミゼラブル」の冒頭で、囚人が看守に番号で呼ばれているシーンが連想されてなりません。

「背番号」は、文学や映画で描かれてきた、「監視社会」の象徴そのものです。「何か気持ち悪い」と感じる国民は、多いはずです。

マイナンバーは、国民の利便性を向上させるように見えてその実、ディストピア(ユートピアの反対)への道にほかなりません。

すでに詐欺が多発し、汚職も発覚しています。情報漏洩の原因や、大増税の装置にもなりかねない危険な制度です。

自由が死んでいく政策には警戒を

安倍政権は、自由主義や資本主義を大切にする保守政権であったはずです。国民も、そう期待していたはずです。

しかし、実際に行っている経済政策を見る限り、統制的で、資本主義の精神や自由な経済活動を阻害するような施策ばかりです。

「すべての人が一定以上の収入を得ることができる」「年金はもう安心」「様々な手続きが便利になる」などといった耳触りのいい言葉の陰で、日本人は財布の中身から、買い物の履歴まで政府に管理されるという、「隷属への道」にずるずると引き込まれつつあるのです。

その危機を感じている幸福実現党は、次のような国家ビジョンを明確に掲げています。

「安い税金で小さな政府。だからこそ、国民は伸び伸びと、創造性を発揮しながら経済活動ができ、社会はより豊かになる。

政府も本当に必要なことだけに税金を使うので、国の借金も増えることはない。国民の収入が多いので、税率が低くてもそれなりの税収がある。むしろ、喜んで税金を払いたくなるような、徳ある国を目指すべきだ。ただし、どうしても働けなくなった時には、最低限のセーフティネットが確保される」

これが、「自由の大国」です。

なぜこれを国家ビジョンとして位置づけるべきなのか―。

簡単です。この方が、人間は幸福だからです。

この「自由の大国」を意識したときに、そこに逆行するような政策には、警戒心を抱かざるを得ないのです。