参院選 憲法改正ってどう考えたらいいの?(そもそも解説)
2013.06.18
憲法改正ってどう考えたらいいの?(そもそも解説)
憲法改正が参院選の重大な争点に浮上している。なぜ憲法改正が必要なのか。改正についてどのように考えればいいのか。
日本国憲法の制定は1946年。占領していたアメリカが1週間ほどで作ったものです。憲法とは、その国が目指す方向や理念を明示する法典ですが、それを外国が、しかも即席でつくったのです。憲法9条は「戦争放棄」を言っていますが、これはアメリカに戦争を挑んだ日本が二度と刃向ってこないようにしようという意図がありました。その結果、戦後日本は国家として最も大切な国防にさえ責任を持たず、アメリカに“アウトソーシング"する無責任体制になってしまいました。
しかしその「アメリカ頼み」も、通用しなくなりつつあります。財政難のアメリカは国防費削減と同時に、シリア内戦への介入を躊躇するなど世界の問題に知らん顔。もうすぐ米本土に届く核ミサイルを持つと言われる北朝鮮や、猛烈な軍拡で周辺国を威嚇する独裁中国に対しても弱腰です。アメリカが「世界の警察官」を担った時代は終わりつつあります。日本人は自らの手で憲法を改正し、「自分の国は自分で守る」という当たり前の原則に立ち返って国防強化に当たらなければなりません。
安倍晋三首相は憲法改正の手続きを定める憲法96条の改正について、夏の参院選で国民の判断を仰ごうとしています。憲法改正をより簡単にして、9条改正へとつなげるためです。なぜ96条から始めるかというと、9条改正をいきなり言うと、「戦争する気か」「軍国主義だ」といういわれのない批判を受けてしまうからです。軍隊は国を守るために必要であり、こうした批判は言いがかりですが、まずは合意を得やすい96条を改正してから9条に取り掛かる流れのようです。
憲法改正への案を示しているのは、既成政党では自民党、みんなの党、日本維新の会に吸収されたたちあがれ日本です。3党の案は国防強化に前向きな点で共通していますが、天皇について「元首」と定めています。旧日本軍は「天皇の軍隊」として戦ったため、皇室が敗戦後も生き延びたのは奇跡と言えます。しかし元首に天皇を据えれば、次に敗戦のような危機が訪れると皇室消滅を招きかねません。世界の宝である皇室を守るためにもあくまで文化的な象徴として、政治的な責任は負わないという一線を明確にすべきです。自民党などの案は、明治憲法のような「復古調」の印象です。
その中で、幸福実現党が他党に先がけて2009年に示した「新・日本国憲法試案」は、日本を取り巻く問題への現実的な答えを示しています。試案は国民が直接選ぶ大統領を元首と定め、防衛軍を指揮する「国家防衛の最高責任者」と定義し、国防に責任を持つことを規定しています。
際立つのは「世界平和実現のため、積極的にその建設に努力せよ」と規定している点です。アメリカが「世界の警察官」の役割から降りようとしている中で、日本は自国の国防に責任を持つと同時に、世界平和に対する国力相応の役割を果たす必要があります。そうした気概を持って、憲法改正にも当たるべきでしょう。
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