筆者は3月2日から12日にかけて、幸福の科学学生局の仲間と共にインドを訪れた。仏跡巡りや現地の大学生との交流、街頭伝道などを通じ、さまざまな学びや感動を得ることができた。複数回に渡って、その内容をお届けする。今回が最終回。

前回の内容は( http://the-liberty.com/article.php?item_id=9580 )を参照。

これまでは、インドの若者の「日本に対する見方」や複数の宗教が共存する「宗教事情」について述べてきた。今回は、街や人々の様子を“ありのまま"お伝えする。

鳴り止まないクラクション

筆者らがニューデリーに到着した日の翌朝、まず驚いたことは「クラクションが鳴り止まない」こと。クラクションの音で目覚めたと言っても過言ではなく、その音量は外での会話が聞こえなくなるほどだった。道路交通に関する法規制が緩く、車の運転が乱雑になったり、歩行者が道路をお構いなしに横断したりすることが多いようだ。

しかも、農村部ではクラクションに加え“追い越し運転"が日常茶飯事。私たちを乗せた車もまるで「レーシングゲーム」のように次々と前の車を抜かしていった。その時の恐怖感は言うまでもない。しかしそれもそのはず。インドは交通事故死者数が年間約14万人(2012年)と世界最多。問題は深刻で、「交通事故の現場をよく見る」(現地住民)という声も多い。幸い、私たちが事故現場に遭遇することはなかったのだが……。

そうした交通事情の中、私たちの興味をひときわ惹いた乗り物があった。「オートリクシャー」と呼ばれる、3つのタイヤからなるタクシーだ。料金は数十から数百ルピー(数百円)程度と安く、街中ではよく見かける。政府がタクシーの台数や運賃に口を出す日本と比べ、明らかに市民や観光客の役に立っていた。日本も2020年の東京五輪開催に向けて外国人観光客を増やそうとしているなら、そうした規制は取り払っていくべきだ。

一目瞭然の「ごみ問題」をどうするか

インドで、交通問題に続いて指摘されるのが「ごみ問題」。都市部の中心部から少し外れた場所や農村部では、路肩に大量のごみが散乱していた。その様子を見て、なんとも言えない「惜しさ」を感じた。宗教を尊重するインドの人々は、普遍的な真理といえる「真・善・美」の追究を非常に大切にするはずなのに、それが日々の生活環境にまで浸透していないように思われたからだ。

日本のごみ処理のシステムは江戸時代から始まった。人々は当初、ごみを近くの川や堀、空き地に捨てていたが、1655年(明暦元年)、江戸幕府の命により、ごみは「永代島(えいたいじま、現在の東京都江東区)」に集めて捨てられるようになる。その後、(1)収集(2)運搬(3)処分という流れが整備されていった。また、江戸時代には「リサイクル」も慣例となり、集められた紙くずで作られた再生紙は、「浅草紙」と呼ばれ、江戸の名産品となった。インドにおける「宗教的磁場」の醸成のために、ぜひ日本からこうしたごみ処理に関する高い技術や知恵も伝えていってほしい。

今後、日本からインドへのインフラ輸出も増えていくだろう。インドは日米が主導するアジア開発銀行(ADB)に加盟しているが、近ごろ中国が整備を進めているアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーにもなっている。日本は中国の覇権拡大の思惑をインドに訴え、同国を「対中包囲網」の一角に取り込んでいく必要があることを忘れてはならない。

人間としての大きな「器」をもった国民性に感服

また私たちは、春の訪れを祝う「ホーリー祭」に参加した。そこでは日本語教室を開いた学校の生徒や先生方など、子供も大人も入り混じって遊んだ。その際、私たちからの出し物として踊った「ソーラン節」の様子が、現地の複数のメディアに取り上げられた。

インドの人々は総じて、陽気で積極的な人が多く、多種多様な宗教や文化、考え方を受け入れてくれる。また、街中で目が合えばニコリと笑い、気さくに話しかけてもくれる。私たちは終始、そうした人間としての「器の広さ」に感服するばかりだった。

今回のインド訪問を通じて、人々の貧困や悩み、苦しみに真正面から向き合うことができた。今は、彼らの抱える問題の解決に役立ちたいという気持ちと、共に発展繁栄していきたいという願いでいっぱいだ。また、筆者自身、再度、多くのものを「与えられている」ことに感謝することができた。そして、世界中の人々を物心両面で幸福にする力強いリーダーの一人になりたい。そんな決意を固めることができた旅だった。

(幸福の科学学生局 原田翼)

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