最近、米政府や軍の高官が、中国を警戒する趣旨の発言をしており、米マスコミにも中国脅威論が浸透し始めている。

ここ1~2カ月だけでも、以下のような記事が米マスコミ各紙に掲載された。

●1月26日付、米ビジネス・インサイダー紙"China Is Shutting Out Western Thinking"「中国は西洋思想を排斥しようとしている」

中国共産党は、国内のシンクタンクに対して、2020年までにマルクス主義・唯物史観を基にした共産主義思想・中華思想を広めることの出来る「世界的なシンクタンク」になるよう呼びかけた。

●2月2日付、米ワシントン・フリー・ビーコン紙"Navy Intel Officer Warns of Future China Conflict"「米海軍諜報主任が、未来の中国との紛争を警戒」

米海軍太平洋艦隊の諜報主任のジェームズ・ファネル氏が退役演説で、中国が太平洋において戦争の用意をしていることに言及した。

●2月3日付、米フォーリン・ポリシー誌"Is there a Chinese window of opportunity for attacking within about 5 to 10 years?"「中国が『打って出る』チャンスは5年から10年以内?」

元海兵隊のロバート・ハディック氏は、米中の軍事力の近代化のトレンドを見ると、中国軍が米軍との差を詰め、何らかの軍事行動に出られる期間は2025年までだと言う。それ以降は、米軍の次世代技術が中国を突き放すとした。

●2月7日付、米ナショナル・インタレスト紙"Wake Up, America: China Is a Real Threat"「アメリカは目を覚ませ: 中国は脅威である」

中国の人権侵害、宗教弾圧、知的財産の盗用、北朝鮮のような国の支持など、反民主的・反資本主義的・抑圧的な面を厳しく批判している。同国が世界にとって危険であり、アメリカは軍事的にも外交的にも中国に対して毅然とした態度を取るべきだとした。

●2月10日付、米ワシントン・フリー・ビーコン紙"Hawaiian Independence Movement Attracts Chinese Interest"「ハワイ独立運動が中国の関心を集めている」

アメリカが台湾に軍事援助をしていることに不快感を示した中国が、ハワイの独立運動を支援するかもしれないとほのめかした。2012年には、北京政府が「ハワイに対する領有権を主張する」と脅しをかけてきたことを、当時のクリントン国務長官が暴露している。

これ以外にも、多くのマスコミが中国経済の危険性を指摘し、「バブルが弾けるのではないか」といった趣旨の記事を掲載している。

これらの記事を要約すると、以下のような論旨にまとめることができる。

中国は西洋的な考えを排斥し始めており、「中国が世界の中心である」とする中華思想・毛沢東主義に回帰している。この思想を実現するため、中国は現在急速に軍拡を進めており、いずれは極東から米軍を追い出し、ハワイまでを含む西太平洋を支配下に置こうとするだろう。しかし、中国の経済状況と、米中の軍事技術の発達を分析すると、中国が攻勢に出られる期間は5~10年以内であり、それ以降はアメリカが勢力を盛り返すだろう。そのチャンスをつかむために、中国はここ数年のうちに攻勢に出る可能性がある。

もっとも、これは幸福実現党が2009年から一貫して主張してきたことであり、アメリカ政府や社会がその認識にやっと追いついてきているだけとも言える。

野心をむき出しにし、地域の平和や周辺国の繁栄を顧みない中国の行動は、今後も激化する可能性が高い。アメリカの国力に疑問符がついているいまこそ、日本が地域の安定を守るリーダー国家として立ち上がるときがきたのではないだろうか。(中)

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