2015年3月号記事

The Liberty Opinion 4

政財界の「親中路線」の転換期

国内回帰の企業に減税を

今年に入り、中国に工場を持つ日系企業が日本国内に生産拠点を移す「国内回帰」の動きが加速している。

パナソニックやホンダ、TDKなどが国内回帰を発表したほか、中国での生産比率を下げる企業も相次いでいる。これにより、地方にも雇用が生まれ、日本経済が活性化するとの声が上がっている。

国内回帰を発表した主な企業

パナソニック洗濯機など家電の一部を静岡や神戸の工場に移管。
ホンダ原動機付自転車の一部を熊本の工場に移管。
キャノンカメラなどの国内生産比率を段階的に引き上げる。

この国内回帰の要因は、中国の人件費高騰に加え、1ドル=120円台になった円安にあるとされている。しかし、 歴史認識や尖閣諸島の領有権での日中の対立が鮮明・長期化したことが、日系企業の脱中国を促した面は否めない 。特に昨年には、1936年に中国の会社がリースした船をめぐって、商船三井の船が差し押さえられた。これは事実上の戦後賠償と言える。結果、対中直接投資は前年比約4割減(約5千億円)に急落し、天安門事件が起きた89年を超える下落率になった。