習近平率いる中国共産党最高指導部は、汚職などの腐敗取締り運動で、数々の有力幹部を失脚させている。22日、令計画・党統一戦線部長を「重大な規律違反」で取り調べていることを、中国の国営新華社が報じた。容疑については明らかにしていないが、汚職など経済問題の可能性が高く、これは事実上の失脚といえる。

これまでは、引退後の共産党幹部の失脚が多く報じられてきたが、令計画氏は、全国政治協商会議の副主席などを務める現役の共産党指導者であり、胡錦濤前国家主席の側近でもある。周永康党政治局常務委員(当時)の失脚に続き、現役の有力幹部の失脚が与える影響は大きい。

中国共産党には大きく分けて3つの派閥があり、権力をめぐって熾烈な争いが繰り広げられている。

(1)「太子党」とは、習近平が率いる、高級幹部の子弟たちである。反腐敗キャンペーンで勢力を大きくしつつある。(2)「共青団」は、胡錦濤が率いる改革派エリート集団であり、李克強、そして今回失脚した令計画などが属する。(3)「上海派」は、江沢民とその部下を中心とする幹部が集まるグループで、最近続けて失脚した薄キ来、周永康などが属する。

習近平派と、胡錦濤派は、江沢民派を攻撃するために一時協力関係にあったが、江沢民が失脚した場合には、習近平と胡錦濤が衝突する可能性は非常に高い。

この仁義なき権力争いの鍵を握るのは、巨大な経済利権団体で中国の政治に絶大な影響力を持つ、人民解放軍だ。

習近平指導部は今年6月、今まで見逃していた人民解放軍にも汚職摘発の手を拡大し、徐才厚・人民解放軍元幹部の党籍を剥奪した。

この反腐敗キャンペーンは、共産党幹部に対する国民の不満を抑える目的で始まった。表向きは「国民のため」という名目がある。しかし、これまで汚職摘発で失脚したのは、「共青団」派や「上海閥」の幹部ばかりで、習近平が属する高級幹部子弟の「太子党」の幹部はほとんど摘発されていない。

そのような太子党による露骨な政敵排除のための反腐敗キャンペーンに、共産党幹部や人民解放軍、そして国民の不満が爆発するのも時間の問題である。

大川隆法・幸福の科学総裁は、このような習近平政権の利己的・抑圧的な取り締まりについて、著書『自由を守る国へ』の中で以下のように述べている。

中国(共産党)は、今、言うことをきかないところに対しては、法家思想的に、規律で締め上げていこうと思っているわけですが、こういう思想は、流れが変わったときに、最後には習近平以下の共産党幹部自身を裁く"剣"にもなるでしょう。

習近平指導部は中国において最高権力を握ろうとしているが、一党独裁制で自由が抑圧された状態では、国民を誰一人として幸福にすることはできない。

14億人近くの人口を持つ中国の国家主席として、自らの権力を守り誇示することを考えるのではなく、国民一人一人が「神の子」であるという霊的な事実を知り、国民に真の自由、真の幸福を与えなければ、習氏にも中国にも未来はない。(真)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『自由を守る国へ 国師が語る「経済・外交・教育」の指針』 大川隆法著

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幸福の科学出版 『中国と習近平に未来はあるか』 大川隆法

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幸福の科学出版 『世界皇帝をめざす男』 大川隆法著

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