都道府県や市区町村の首長・議員を選ぶ選挙が集中する「統一地方選」は、来年の春に控えているが、沖縄県ではひと足早く行われ、7日、24市町村で一斉に投開票が行われた。本欄では、全国的にも注目を集める「尖閣諸島」を行政区に持つ石垣市議選と、普天間基地の移設先の「辺野古」を擁する名護市議選の結果を比較してみたい。

定数22を争った石垣市議選では、尖閣諸島について日本政府に実効支配を強めるよう要望している中山義隆市長を支持する与党系14人、これに反発する野党系6人、中立2人が当選。与党系が多数派を維持した。

8日付の地元紙・八重山日報は、「中山市長は安定的な市政運営を継続する見通しになった」「与党側の新人、長山家康氏と友寄永三氏がともに初当選を果たし、有力な新人の発掘が進んでいることもうかがわせた」「若者の支持が保守系の候補に集中している傾向も浮かび上がる」と評価した。

また同紙は、2度目の挑戦で念願をかなえた友寄永三氏に注目。「『応援してくれた人との一体感のある選挙だった。まずは教育に力を入れる。教育が未来をつくる』と力強く語った」と紹介している。

一方、米軍の普天間飛行場の移設先となる名護市議選では、定数27を争った結果、移設に反対する稲嶺進市長を支持する市長派14人、反市長派11人、移設反対の公明党2人が当選。移設反対派が過半数を維持した。

沖縄県の2大紙の1つ「琉球新報」は8日付(ネット版)で、「移設反対派の勝利により、地元の反対を無視する形で移設作業を強行している政府に対する批判や、辺野古埋め立てを承認した仲井真弘多知事への反発がさらに強まりそうだ」と主張。移設を進める政府をけん制した。

「尖閣諸島」と「辺野古」を擁する石垣と名護の両市議選の結果を、どう評価すべきか。それは「中国」というキーワードを通して見ることよって、おのずと明らかになる。

中国外務省の報道官は昨年4月の定例記者会見で、尖閣諸島について、「中国の核心的利益だ」と明言。中国政府や中国共産党の関係者が公の場で、初めて「核心的利益」と認めた瞬間だった。ちなみに、「核心的利益」とは、中国側がチベットやウイグルなど、絶対に譲らない問題に対して使う言葉で、「自国の領土」と読みかえても差し支えない。中国船が尖閣付近の領海侵犯を繰り返していることからも分かるように、習近平体制下の中国は、日本侵略の意図を隠さず、堂々と「宣言」しているのだ。

万が一、今後、辺野古移設が迷走し、日米関係に再び亀裂が入り、軍事費にお金をかけたくないオバマ米大統領が日本からの撤退を進めれば、「力の空白」は中国によって埋められることになるだろう。本誌10月号の沖縄ルポでも紹介しているが、沖縄では現在、「琉球独立論」がくすぶり、「中国の属国化」への動きが進んでいる(関連記事参照)。それは11月の県知事選で命運が決まる。

もちろん、沖縄の問題は沖縄県民だけの責任にはできないが、沖縄の有権者には、自分が投じる一票が、今後とも日本を主権国家として維持させていくか、それとも中国の「日本自治区」にさせるか、を決めるものであるという自覚を持っていただきたい。(格)

【関連記事】

2014年10月号記事 現地ルポ・沖縄が「中国領」になる日 - 11月県知事選で命運が決まる

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8305

2014年8月号記事 日本はアジアの警察官たれ 東南アジアは「盟主」を求めている Part1

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2014年8月29日付本欄 翁長那覇市長、「琉球独立」の活動家と交流か 沖縄県知事選の有力候補に疑問符

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2014年8月26日付本欄 イランの国際映画祭に「尖閣ロック」が招待 愛国心は国境を越える

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8346

2014年8月18日付本欄 本当に環境保護が理由? 辺野古の埋め立てだけに反対する矛盾

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8291