2014年10月号記事
現地ルポ
沖縄が「中国領」になる日
11月県知事選で命運が決まる
沖縄では、9月に統一地方選、11月に県知事選が行われる。だが、水面下では「琉球独立論」がくすぶり、「中国の属国化」への動きも見られる。現地を訪れ、沖縄の未来について考えた。
(編集部 山本慧)
「沖縄が日本から独立すれば、日本経済の3分の1に当たる損害を与えることができる!」
8月上旬、那覇市内の雑居ビルの一室で行われた、琉球独立を訴える政治団体「かりゆしクラブ(注)」の会合。出席したアジア沖縄経済研究所の宮城弘岩代表は、強い調子で訴えた。
沖縄独立に関する著作を持つジャーナリストの比嘉康文氏も、「日本、中国、アメリカと、対等な関係を維持する独立の形態があるはず」と語気を強めた。
また、参加者は、なぜか旧ソ連の国歌で、現在でも中国共産党の党大会で歌われている、世界的に有名な社会主義革命歌「インターナショナル」を合唱。「独立」への思いを一つにした。
琉球独立派に弔電を送る県知事選候補の翁長市長
この会合は、同クラブの屋良朝助代表の姉・光子氏が、7月に亡くなったことを受けて開かれた「お別れ会」。記者は、「琉球民族独立総合研究学会」(上コラム)の会合だと勘違いしていたため、引き返そうとしたが、主催者に呼び止められ、参加に至った。
会合は15人足らずの小さなものではあったが、集まった人々は「琉球独立」を真剣に考える、地元では有名な活動家ばかりだった。
会合の中盤、光子氏に寄せられた、ある一通の弔電が読み上げられた。
「ご訃報に接し、心から哀悼の意を表します。安らかにご永眠されますようお祈り致します。
那覇市長 翁長雄志」
居心地の悪さを感じ、早く帰ろうと機会をうかがっていた記者は、その瞬間、座っていたイスからずり落ちそうになった。
市長である翁長氏が、なぜ琉球独立を唱え、革命歌を熱唱する会合にわざわざ弔電を送るのか。翁長氏は、11月に行われる沖縄県知事選の最有力候補でもあるのだ。