フランスのアングレーム国際漫画祭で、「慰安婦の強制連行はなかった」と伝える漫画を出品した日本の市民団体「論破プロジェクト」(藤井実彦・実行委員長)が、主催者側に会場から締め出された問題で、フランスから帰国したばかりの藤井氏が8日、本誌の取材に答え、現地での詳細が明らかになった。

藤井氏によると、漫画祭の開幕前日の1月29日、同プロジェクトの関係者らは会場で準備をしていた。しかし、昼食のためにブースを離れていた約30分の間に、漫画祭の主催者でアジア担当のニコラ・フィネット氏が現れ、ブースの展示物などを撤去していった。

何もなくなったブースに戻ってきた藤井氏らは、事前に予定していた記者会見を行い、撤去された現状を訴えようとしたが、そこに再びフィネット氏が現れ、会見を中断させた。藤井氏は、会見について、事前に漫画祭の広報担当者に許可を取っていることを伝えた。しかし、フィネット氏は「ここのブースでは、俺が法律だ!」と主張。同プロジェクトの漫画を、「史実」に基づかない政治主張だとして、藤井氏らの言い分を聞き入れなかった。

藤井氏は、「歴史の捏造である、『旧日本軍は、韓国の女性を強制連行して、従軍慰安婦にした』という韓国側の漫画は、そのまま展示され、なぜ、我々の展示だけが許されないのか。非常に残念だ」と語る。

だが、今回の騒動で同プロジェクトのブース撤去を主導したフィネット氏が、当初から韓国側の主張に立つ人物であったという情報がある。

ネットニュース「サーチナ」によると、今回の漫画祭が始まる以前の昨年8月13日、韓国の政府機関・女性家族部のチョ・ユンソン長官が、韓国に訪れていたフィネット氏やアングレーム市のフィリップ・ラボ市長に会い、従軍慰安婦の被害者の実状を知らせる漫画の出品に協力を求めた。

その際、フィネット氏は、「日本軍慰安婦問題は、女性の性暴力の問題として、日本政府がその責任を認めない限り、過去ではなく、現在の問題である。欧州など国際社会にこの問題を知らせることに最善を尽くす」と話している(2013年8月14日付サーチナ)。

実際に、「韓国の作品の政治メッセージに問題はないのか」という現地でのインタビューに対し、フィネット氏は「答える立場にない。彼らが何をしたいのかまでは知らない。芸術家は自分の意見を表現する権利がある」と、韓国側を擁護する発言をしている(2月3日付産経新聞)。

藤井氏は一連の騒動を、こう振り返える。

「『従軍慰安婦』という存在は戦後につくられた捏造であり、韓国が主張するような旧日本軍による強制連行は存在しません。今回の出来事を通じて、やはり歴史問題の元凶となっている『河野談話』を撤回しなければ、根本的に問題を解決することはできないと感じました」

藤井氏が指摘する通り、「従軍慰安婦は歴史の捏造だ」と叫ぶ勇気ある日本人が現われても、海外では、「日本政府は『河野談話』で、正式に認めているじゃないか」と言われれば、どうにもできない状況が生まれてしまう。

だが、藤井氏らが取り組むプロジェクトは、本来、日本政府が行うべきものである。こうした海外で起こる歴史問題の騒動の根本には、日本政府の歴史認識の誤りと、それに伴う諸外国の誤解があることを認め、一刻も早く、「河野・村山談話」を撤回し、国際社会に説明を果たすべきだ。(格/晴)

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