2014年1月号記事

そもそモグラのそもそも解説

絵で見て分かる

最先端科学入門

素粒子、超弦理論、パラレル・ワールド

霊界が解明される日も近い!?

2013年のノーベル物理学賞の授賞が決まったヒッグス博士は、2012年に発見されたヒッグス粒子の存在を予言した科学者です。このヒッグス粒子の発見によって、宇宙の始まりについての研究が一歩進んだことになります。最先端科学はどこまで進んでいるのか、素粒子や超弦理論、はたまた、トンデモ科学と思われがちなパラレル・ワールドについて解説します。

(編集部 大塚紘子、居島有希)

「神の粒子」が発見された!

物理学を揺るがす発見や報告

1610年ガリレオが地動説の証拠の一つとなる、木星の衛星を報告
1687年ニュートンがニュートン力学の始まり『プリンキピア』を出版
1873年マクスウェルが電磁気学の基礎『電気磁気論』を出版
1905年アインシュタインが特殊相対性理論に関する論文を発表
1911年ラザフォードが「原子核とその周りを回る電子」という原子モデルを提唱
1926年シュレーディンガーが量子力学の基礎、波動力学に関する論文を発表
1931年加速器で発生させた陽子線を使って核反応の研究が始まる
1957年エヴェレットが「多世界解釈」を提唱し、パラレル・ワールドの存在を予言
1984年超弦理論が注目を集める
2012年ヒッグス粒子の発見

2012年7月、「神の粒子ついに発見!」というニュースが、世界を駆け巡りました。ヒッグス粒子は、別名「神の粒子」とも呼ばれ、素粒子に質量を与えているものです。もし存在しなければこの世界の物質は重さを失い、すべてがバラバラになってしまいます。もちろん、私たちの体を作っている物質も例外ではありません。

ここで少し、物理学の歴史を振り返ってみましょう。古典物理学の本格的な始まりは、1665年に、ニュートンが、リンゴが木から落ちるのを見て万有引力の法則をひらめいたことでした(図1)。リンゴと地球の間に働く引力が、太陽と地球の間など、天体にも働いているという発見です。

その後、私たちの目に見えている物質は、とても小さな原子が集まってできており、その原子は原子核と電子でできていることが分かってきました(図2)。この原子核をもっと細かく見ていくと、陽子、中性子、それをさらに分解していくとクォークになります。 クォークや電子などが今のところ、物質の最小単位である「素粒子」だと言われています。

素粒子の世界はまるで霊界?

この素粒子は、物質として現れたり重さを持たないエネルギーになるなど、私たちの目に見える物質では考えられないような性質を持っています。

また、素粒子研究の最新理論である超弦理論(図3)では、この世界は10次元空間まであると考えると、つじつまが合うことが分かってきました。縦・横・高さの3次元空間以外の次元とは、いったいどんな空間なのでしょうか。

このように、 素粒子の世界は、まるで霊界のように不思議な世界なのです。

図1,図2,図3 画像

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図内のテキスト

図1 物体の運動を表すニュートン力学

私たちが普段目にする物体の運動は、ニュートン力学ですべて説明がつきます。「地球とリンゴの間に働く力(万有引力、重力)は、太陽や地球、月など、遠く離れた天体同士にも働いている」と考えたニュートンは、それまで謎だった天体の動きを次々と解明したのです。

図2 極小の世界の運動を表す量子力学

原子や電子など、ものすごく小さな世界では、私たちの普段の感覚とは違うことが起きています。それを表しているのが量子力学です。「光や電子は、粒でもあり、波でもある」というのが、この世界の常識です。

図3 物質の最小単位は「ひも」と考える超弦理論

量子力学などこれまでの理論で素粒子を「粒」として考えると、とんでもない計算結果が出てきます。これを解決できそうなのが、物質の最小単位が、「粒」ではなく「ひも」でできていると考える超弦理論です。