ロシアの極東発展省は3日、ロシア本土とサハリン島に橋をかけて鉄道で結ぶ計画の工事を2016年に始めると発表した。4日付朝日新聞によれば、サハリンと北海道とを結ぶ計画についても、日本の国土交通省とサハリン州の間で協議された模様だ。シベリア鉄道を経由して、ユーラシアの西と東を結ぶ鉄道の実現に一歩近づいた。

極東発展相のイシャエフ氏は、「確実な交通の連絡がないことでサハリン州の経済発展が困難だった。橋の建設で大陸から(サハリンの)不凍港にアクセスできるようになる」と、計画への期待を語っている(4日付朝日新聞)。現在、サハリンと大陸との間の交通手段は飛行機が中心で、船舶航路もある。しかし冬季は、悪天候で空港が閉鎖されたり、流氷で船舶が航行できなくなるなどして、「孤島」と化してしまうことがある。この橋と鉄道の建設により、季節に関係なく物流ルートを確保することができる上、輸送コストの削減や時間の短縮も期待できる。

ロシアのプーチン大統領は2012年の大統領復帰後、「極東発展省」を創設。極東地域のインフラ整備や宇宙基地建設など、大規模開発に力を入れているほか、外国企業の受け入れにも積極的だ。今回のプロジェクトも、その一環である。もともとプーチン大統領は2001年、大陸と北海道をつなぐ計画を「ユーラシア横断鉄道計画」として策定しており、極東開発への強い思い入れを示してきた。大統領復帰前の2011年12月にも、首相として「日本までトンネルを建設することも可能。シベリア鉄道を日本の貨物で満載することにつながる」と語っている。

北海道と大陸とが陸路でつながれば、日本からヨーロッパまでの輸送にかかる時間は船便より2週間短縮される。日本とロシア、欧州との間で経済的な結びつきが強まり、日本の輸出拡大も期待できる。日露関係について言えば、ロシアは日本に対し、サハリンから電力を供給する構想を提示しているし、天然ガスの売り込みも進めたいところである。こうした資源の貿易も、より活発になるだろう。

この計画は、日本、ロシア、そしてヨーロッパと、ユーラシア全体の発展に寄与するものである。実現すれば日本とロシア・ヨーロッパの間で人・モノ・カネの動きが加速し、経済発展へと繋がることだろう。将来的には、東京からロンドンに向けて、日本が開発したリニア新幹線を走らせることも可能だ。日本はこのプロジェクトにより積極的に参画すべきである。(晴)

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