中国本土から海外に移住する人が急増していると、このほど米ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。

2010年には50万8千人の中国人が国外に移住したが、これは2000年に比べて45%多い数字である。アメリカは昨年、8万7千人の中国人の永住を認めたが、これは前年に比べて1万7千人も多い。中国商務部によれば、タクシーの運転手や漁師などの小規模産業を中心に、昨年末の時点で80万人の中国人が国外で働いており、1990年時点の13倍以上になっている。

以前には貧困層の国外移住が多かったが、近年では中国の経済成長に比例して、投資や子息の海外留学で、長期的な足場を築くケースが多いという。2日付の米ロサンゼルス・タイムズ紙によれば、1千億元(約160万ドル)以上の資産を持つ中国人の半数以上が、海外移住を検討しており、16%はすでに海外の居住権を持っているという。

情勢不安や環境問題、基本的人権のなさなどが、移民の背中を押すようだ。ニューヨーク・タイムズの記事に登場する、上海でエンジニア会社を経営する男性は「グリーン・カード(アメリカの永住権)を持っていると安心できます。この国のシステムは不安定で、次に何が起きるかわかりません」と述べている。

中国では8日からの共産党大会で、習近平国家副主席が党総書記に就任し、新たな指導者となる予定。国内ではデモや暴動が年に20万件以上発生し、いつ大規模な反政府運動に転じるか分からない状況だ。新指導部が国内問題に真摯に取り組み、国民生活の向上に努めなければ、国のシステムが自壊してゆく日は案外近いのかもしれない。

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