「ヒラリー長官の警告」と題する書き込みが、中国のネット上で話題になっていると産経新聞(電子版)が報じている。「戦わずして中国に勝つ方法」を紹介したこの書き込みは、クリントン米国務長官が訪中時に語ったとされるが、実際は創作の可能性が高いようだ。

書き込みによれば、「戦わずして中国に勝つ方法」とは、中国政府高官の蓄財の実態を公表することだという。具体的には、資金逃避のための海外口座や、万が一の時の亡命用の米国パスポートを持っている、中国政府の高官の名前を公表し、口座の資産は凍結する。また、家族や愛人をアメリカに住まわせている高官の名前を明らかにするとともに、彼女らを刑務所に収容する。そして、失業者など中国国内で反政府デモを起こす可能性のある人々に、武器を供給することだという。

中国では政府高官や共産党幹部などによる蓄財や汚職が問題になっており、大規模な反政府デモを誘発しかねないため、政府は警戒している。26日には米ニューヨーク・タイムズ紙が、温家宝首相一家が少なくとも27億ドル(約2150億円)の資産を持っているという独自調査の結果を1面で報道。一家の蓄財は温家宝氏が1998年に副首相に昇格してからのものだとしている。

記事を受けて、温首相は弁護士を通じて報道を否定する声明を発表。法的措置も辞さない構えを見せている。また中国政府はニューヨーク・タイムズ紙のホームページの閲覧や、温首相やその家族の名前でのネット検索ができないようにしている。

中国では暴動が年20万件以上も発生していると見られ、党幹部の汚職に加えて、失業や環境問題など、その火種は尽きない。最近では寧波で化学工場の建設に反対するデモが発生し、一部参加者が警察車両をひっくり返すなどして50人以上が逮捕された。「ヒラリー長官の警告」が示唆するように、汚職などの問題から大規模なデモや暴動が発生し、外部の勢力がそれを支援すれば、共産党政府にとって重大な危機になるだろう。

2016年に経済規模でアメリカを抜くとされる中国は、軍事面でも近代化を進め、世界一の国になろうと勇み足だ。しかし、唯物論国家であるため社会に道徳心がなく、国民生活の向上を考えずに共産党幹部ばかりが蓄財し、失業や低賃金に苦しむ国民は政府を批判する自由すらないという一党独裁体制のツケが、中国現政府の自壊の引き金を引く可能性もある。

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