アメリカの玩具メーカー、マテルの製造するバービー人形について、イラン当局が、約3週間前から「イスラム教の価値を脅かす有害な西洋文化」として販売を取り締まっているとロイター通信などが17日報じている。

昨年末から、イランの核兵器開発問題をめぐって欧米諸国が原油の禁輸など経済制裁を強化したことから、イラン政府が対抗する姿勢を見せている。「バービー禁止」もその一環とみられるが、背景には宗教的な根深い事情もある。

バービー人形は、肌の露出度が高く、大人のコレクター向けにタトゥー入りのモデルが発売されるなど、アメリカ本国でも物議をかもした前例のある商品だが、発売以来、イランでも人気は高く、玩具店は今でもこっそりと販売し続けているようだ。

イランの宗教指導者らは1996年、バービー人形の「文化や社会への破壊的影響」を挙げ、販売を禁止。2002年には当局によるお墨付きの「サラ」と「ダラ」というイスラム伝統の服装をした男女の人形が発売された。

同じイスラム教国のインドネシアでも、イスラム教徒の女性が身につけるアバーヤなどを着用した"露出度の少ない"子供向け人形の「サルマ」が販売されている。

日常生活の細部まで規定する教義を守ることを堅持しているイスラム教の国々だが、情報網や交通の便が発達するに従って、外の「自由な国」の文化や社会との接触も増えてきている。

イスラム教の信仰については敬意を払うべきであろうが、イスラム教国の側も、他国の宗教や文化に対してもう少し寛容な心を持たなければ、大きな紛争や戦争を回避できないのではないだろうか。〈宮〉

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