《本記事のポイント》

  • アニマルキングダム
  • ランドスケープ・イマージョン
  • 新文明に必要な環境創造

さて前回から世界中のテーマパークの話題を取り上げることにして、はじめに米国フロリダ州オーランドにあるウォルト・ディズニー・ワールド(以下WDW)のエプコット(実験的未来都市)を話題にしました。今回は、同じくWDW内にある「アニマルキングダム」を取り上げます。

人気のあるアニマルキングダムの基本構成

この「アニマルキングダム」は、WDW内の4つの主要テーマパークの一つで、一番大きな敷地面積を持ち、1998年4月22日、アースデーに開園しました。テーマパークである以上、娯楽施設の演出として動物を使うという発想に偏りがちですが、「アニマルキングダム」は、開演以来、単なる「動物園」や「サファリパーク」ではなく、野生動物・自然・冒険・ディズニー映画ならではの世界観という各要素を融合させた総合的なテーマパークに仕上げているのが最大の特徴です。

園内には現在、約300種、2000頭以上の動物が暮らしており、アフリカゾウ、キリン、ライオン、カバ、サイ、シマウマなどを実際に見ることができますが、単に営利目的の施設としてだけではなく、野生動物の保護・教育・研究も重要なテーマになっているところがポイントです。

園内の人気施設には、サファリ車に乗って広大なサバンナを巡り、キリン、ゾウ、ライオン、カバ、サイなどを間近に観察できる「キリマンジャロ・サファリ」や、アフリカの動物を歩いて観察する「ゴリラ・フォールズ・エクスプロレーション・トレイル」、アジアをイメージしたジャングルを歩き、トラやコモドオオトカゲなどを見ることができる「マハラジャ・ジャングル・トレック」などがあり、野生動物の生息地域に合わせた演出がなされています。

それ以外にも、ディズニー映画「ライオンキング」をはじめとしたキャラクターを扱ったアトラクションやレストラン、ホテルなども多数くあります。

ただし、テーマパークとしての「アニマルキングダム」が、はじめから順風満帆で運営できたかというと、必ずしもそうではありません。

開演当初、動物の扱いに関して、動物保護団体等からディズニー側は批判にさらされ、単なる巨大動物園ではなく、"保全を体験させるランドスケープ"を目指す必要に迫られた経緯があります。そこで、この人間と動物との関係性で登場してきたコンセプトである「ランドスケープ・イマージョン」をご紹介しておきたいと思います。

ランドスケープ・イマージョンとは何か

この「ランドスケープ・イマージョン」という考え方は、従来の動物園のような動物を「展示物」として切り出すのではなく、人間も動物の「生息環境」の中に入っていくという発想になります。できるだけ動物や植物が生息している地域の地形、水、気候、音、光も含め、一つの生態的な生活空間として環境を構成していくわけです。米国では1970年代半ば、シアトルのWoodland Park Zooなどを中心に、この考え方が発展しました。

このランドスケープ・イマージョンを理解するうえで重要なポイントは、単なる擬似的な環境演出の中で囲われた動物を展示物として鑑賞するというより、動物とその動物の生息環境に、人間が観察者として入るという発想の転換になります。このランドスケープ・イマージョンでは従来の関係性を見直し、あくまでも生命・生態系中心の価値観への転換として説明されています。

新文明に必要な環境創造に向けて

これからの地球上の文明において、どのような環境が必要なのか、都市型文明と自然との融合等、今後のテーマパーク開発のみならず、重要なテーマになってくると思います。次回もさらにWDW内のテーマパークを取り上げ、考察していきます。

(吉崎富士夫)

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