《ニュース》

総合化学大手「旭化成」の元従業員が、中国企業に半導体製造に関する機密情報を流出した容疑で逮捕されたという報道を機に、スパイ防止法の成立を求める声が改めて高まっています。

《詳細》

半導体製造に使われる硬化剤の技術情報を不正に持ち出し、中国企業に漏洩したとして、愛知県警は17日、旭化成の元社員、古川祥一容疑者(66歳)を「不正競争防止法違反」の疑いで逮捕しました。

古川容疑者は2018年11月末に旭化成を退職した際、営業秘密にあたる硬化剤の製造に関する情報が入った記録媒体を返却せず、2024年9月13日ごろ、中国の化学メーカー(山東聖泉新材料股份有限公司)に情報をメールで送信して流出させたといいます。

古川容疑者は旭化成を退職後、名古屋市の化学メーカーに転職しましたが、その化学メーカーでも別の機密漏洩を行ったとみられています。

愛知県警は2024年8月、名古屋の化学メーカーから機密漏洩に関する相談を受け、2025年4月に古川容疑者の自宅を家宅捜索しました。その際、押収したパソコンなどから今回の旭化成での容疑も浮上しました。

旭化成によると、硬化剤は「ノバキュア」という商品名で販売され、半導体製造や自動車、土木などの分野で使われているものです。古川容疑者は旭化成で電子材料関連の工場長や開発責任者を務めており、一部の社員に限られた機密情報にアクセスすることができました。

旭化成は今後、古川容疑者と中国企業を相手取り、情報の利用停止や廃棄を求め、民事訴訟を起こす方針といいます。

古川容疑者は、「次に就職する会社に自分を認めてほしかった」という趣旨の供述をしています。警察は、古川容疑者が転職で有利になるように技術情報を持ち出していたとみて、金銭のやりとりなどを調べています(2026年9月19日時点)。

こうした産業スパイ行為について、現行法では「報酬を支払うから情報を提供してほしい」と持ち掛けた時点では違法性を問えず、実際に情報が持ち出されるまで捜査機関は介入できません。スパイ行為が行われても、不正競争防止法違反などでしか対処できないため、スパイ行為自体を取り締まるスパイ防止法の制定が求められています。

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