11月18日、新潟県庁の記者クラブで会見する、幸福実現党の壹岐愛子・党政務調査会エネルギー部会長(中央)と、原伸次・党新潟県本部代表代理(右)、小鮒将人・同県本部スタッフ(左)。
幸福実現党の政務調査会エネルギー部会の壹岐愛子部会長らが18日、新潟県庁を訪れ、花角英世県知事宛てに、「柏崎刈羽原子力発電所の速やかな再稼働を求める要望書」を提出。記者会見で、「花角知事には、国民の生命と日本の未来を見据えた、勇気ある政治決断を早急に行っていただくよう、強く要望します」と訴えた。
同党は今年6月、「原子力発電推進議員連盟」を設立し、内閣総理大臣をはじめ、全国の原発立地地域の知事などに宛てて、原発の再稼働や新増設を求める要望を進めている。
「花角知事においては、再稼働に向けた前向きな判断を、心よりお願いしたい」
要望書では、次のように訴える。以下、要約。
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柏崎原発は、世界最大級の原子力発電所として、長年、日本の電力供給と経済成長を支えてきた。現在、国民は物価高騰により生活のあらゆる場面で苦しみ、電気料金の上昇は家計を直撃し、企業活動にも深刻な影響を与えている。
こうした状況下で、安定的かつ低コストで電力供給が可能な原子力発電の再稼働は、一刻を争う重要課題である。
2024年の東京電力の試算によれば、柏崎原発の6・7号機が再稼働した場合、今後10年間で新潟県内に約4,396億円の経済波及効果が見込まれ、県および周辺自治体には3,216億円の財政効果がもたらされるという。
また、原子力発電は、発電コストの面でも優位性がある。経済産業省が示す2040年の電力コスト試算では、電力システム全体に追加で生じる費用を含む実質的な発電コストは、原子力が16~19円/kWhと、太陽光(最大約37円)、洋上風力(最大約24円)を大きく下回っている。長期的な安定供給が可能であり、経済合理性の観点から再評価されるべきである。
安全性の確保が最優先であることは言うまでもない。東京電力は、原子力規制委員会の新規制基準に基づき、総額約1.2兆円規模の安全対策工事を実施しており、技術的・制度的な安全性は着実に向上している。
幸福実現党新潟県本部は、柏崎原発の再稼働は、新潟県の未来にとっても、日本全体のエネルギー安全保障にとっても、極めて重要かつ緊急性の高い選択肢であることを訴え続けてきた。県民の生活と産業を守るため、そして首都圏との共生関係を維持するためにも、知事においては、再稼働に向けた前向きな判断を、心よりお願いしたい。

花角新潟県知事宛てに要望書を渡す、幸福実現党の原氏(中央)ら。
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「幸福実現党は、柏崎刈羽原発の早期再稼働を強く支持・推進する」
要望書の提出後、県庁内の記者クラブで会見を開いた壹岐氏は、原子力発電が不可欠と考える理由について、次のように語った。以下は要約。
(1)エネルギー安全保障
東日本大震災以降、国内の多くの原発が停止し、エネルギー自給率は2024年度で12.6%と極めて低い水準にある。G7では最下位、OECD36カ国でも2番目に低い水準にある。
日本はエネルギー資源の約9割を海外からの輸入に頼っているが、今の国際情勢は非常に不安定で、もし中東やアジアで有事が起き、輸入が途絶えれば、日本経済はひとたまりもなく干上がってしまう。
主権国家として、エネルギーを自給できる体制を構築することは、国防と同義の最重要課題。「今ある原発を動かし、新増設も進める」ことで、エネルギー自立を目指すべきだと考える。
(2)経済と生活の安定
東日本では、電力供給の約8割を火力発電に依存しており、燃料価格の高騰が電気料金にダイレクトに跳ね返り、家計や企業経営を圧迫している。その結果、西日本に比べ電気料金が2割から3割も高い状況が続いている。電力はエネルギー安全保障の問題であると同時に、経済安全保障の問題でもある。
10月31日に経済産業省が公表した最新の電力需給見通しは、極めて憂慮すべき内容だった。2026年の夏、わずか半年余り先には、首都圏を含む東京電力エリアで、安定供給に必要な予備率3%を大幅に下回り、節電要請が必要な水準まで逼迫するとのこと。特に8月の予備率は、驚くべきことに0.9%まで落ち込む見込み。
これは、国民の生命に関わる極めて深刻な事態を意味する。冷房等が十分に利用できなくなれば、熱中症による死亡者数は激増しかねず、このままでは、計画停電すら起こりかねない事態を招く。原発は、石炭やLNGと並ぶ安定的なエネルギー源であり、電気代を下げて日本を元気にするための現実的な選択肢である。
(3)「脱炭素」への冷静な対応
化石燃料も積極的に活用し、世界最高水準の発電効率を持つ日本の石炭火力を活用すれば、電気料金値上げの一因でもあるLNGへの依存度も軽減できる。あわせて、原子力発電も推進する現実的なエネルギー政策が必要。
これまでの再エネ最優先で「2050年脱炭素ゼロ」という政策は、実現不可能であるのみならず、すでに再エネ賦課金をはじめとして光熱費の高騰を招いている。
経済産業省の検討会によると、AIやデータセンターの普及により、2030年代には日本の消費電力が現在の5倍程度にまで増加する可能性があるとの試算さえある。電力需要の急増に対し、不安定な再エネ頼みでは到底追いつかない。
現在、全国で原子力発電は14基が稼働しているが、首都圏の電力を担う原発はいまだに1基も稼働していない。柏崎刈羽原発は、世界最大の発電能力を持つ原発。その再稼働は、新潟県内はもちろん、東日本全体の電力安定供給に大きく貢献し、電気料金の引き下げにも直結する。
結論として、幸福実現党は、柏崎刈羽原発の早期再稼働を強く支持・推進する。
「大川総裁は、東日本大震災のわずか4日後に、『原発を簡単に手放してはならない』と語っていた」
会見の終盤で、壹岐氏は「幸福実現党の党総裁である大川隆法総裁は、東日本大震災のわずか4日後に『原発に替わるエネルギー源が出てこないうちは、単なる恐怖症によって原発を簡単に手放してはなりません』と事故直後から原発推進を訴えてきました」と語り、それが記された書籍『震災復興への道』を掲げた(文末に【関連書籍】)。
そして、最後に、「花角知事には、国民の生命と日本の未来を見据えた、勇気ある政治決断を早急に行っていただくよう、強く要望いたします」と話した。
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