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石油や石炭、天然ガスなど、化石燃料由来の二酸化炭素(CO2)排出量が2025年、過去最多記録を更新するという見通しを、国際研究チームがまとめました。

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ブラジルで気候変動枠組み条約第30回締結国会議(COP30)の開催に合わせて、13日に英エクセター大学のピエール・フリードリングシュタイン氏が主導する研究チームが、CO2排出量の研究結果をまとめた報告書を公開しました。

報告書では、CO2排出量は381億トンと過去最高を記録する見通しといいます。パリ協定では、産業革命以降の平均気温の上昇を「1.5度」に抑えるために、30年までに世界全体の排出量を10年比で45%削減する必要があると定めています。今回の報告書では、排出削減のペースが遅く、今のままでは4年後に目標が達成不可能になると警告しています。

現実に、世界の化石燃料由来のCO2排出で最大の排出量を誇る中国は、25年も123億トンと、前年比で0.4%増加する見通しです。10月に習近平国家主席は「2035年までに温室効果ガス排出量を7~10%」減少させるとの数値目標を初めて発表しましたが、研究者からは、パリ協定の水準に達するには、中国が35年までに「50%以上」削減する必要があり、不十分との指摘が複数上がっています。

また、長期的にも、北米におけるデータセンターの急増などで産業や建築部門の電力需要が増加するとみられ、化石燃料を手放すのは困難になるとの予測も出ています。

10月に米コンサルティング大手のマッキンゼーが、50年以降も化石燃料が主流になるとのレポートを発表。電力需要は50年までに20~40%増加すると予測され、再生可能エネルギーへの転換ペースを上回るため、石油や石炭、天然ガスは、依然としてエネルギーミックスの41~55%を占める、と予想しています。

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