2025年9月号記事
第15回
釈量子の宗教立国への道
幸福実現党党首が、大川隆法・党総裁による「新・日本国憲法 試案」の論点を紹介する。

幸福実現党 党首
釈 量子
(しゃく・りょうこ) 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から現職。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
https://shaku-ryoko.net/
法律は「自由を確保」するためにある
第十条②
新・日本国憲法 試案〔第十条〕
国民には機会の平等と、
法律に反しない範囲での
あらゆる自由を保障する。

前回は、第十条に示された「機会の平等と自由との関係」について考えを深めました。本稿では、後段の「法律に反しない範囲でのあらゆる自由を保障する」に込められた心を、ひも解いていきます。
新・日本国憲法試案を概観すると、第二条で「信教の自由」を打ち出し、第十一条で「政治参加の自由」を念押しするのみという、シンプルな「自由の規定」となっています。
現行憲法が"自由のカタログ"と言わんばかりに、「思想、信条、良心」「集会、結社、言論、出版、表現」「居住、移転、職業選択、外国移住、国籍離脱」「学問」など、詳細な規定を持つのとは対照的です。さらに各政党が新たな自由規定を書き込む憲法案を掲げているのとも、逆のベクトルです。
その心について大川総裁は、次のように述べています。
「この条文では(個別の自由を)いちいち列挙せず、『基本的に、これらの自由はすべて保障する。法律は増えていく一方なので、リストラをかけて、要らない法律はできるだけ排除し、最小限にとどめる。そして、法律を守っている範囲内では、国民は何をしても自由である』ということを言っているのです」(*1)
(*1)大川隆法著『新・日本国憲法試案』(幸福の科学出版)
7500件もの法令を減量せよ
既存の政治をゼロベースでつくりかえようという、幸福実現党の精神を如実に表す特徴と言えます。
この条文は「ハイエク流の考え方」でもあります。ハイエクは20世紀を代表する自由主義哲学の大家であり、「法律とは、人間を取り締まって動けなくするためにあるのではなく、自由を確保するためにある。法律さえ守っていれば、あとは何をしてもかまわない。自由の幅を提示するのが法律の仕事なのだ」という思想を打ち出した人です(*1)。
こうした法哲学の歴史的好例としては、漢の高祖・劉邦が制定し、殺人・傷害・窃盗のみを罪とした「法三章」が挙げられます。
このように、法律は最小限にとどめ、それ以外の自由を強調するのが、十七の条文に収められた憲法試案の考え方であり、第十条のシンプルな自由規定は、その象徴です。
ハイエク流の考え方で政治改革を行っているのが、アルゼンチンのミレイ大統領です。役割を終えた落ち葉のような法律を根こそぎ"掃除"する枠組みを、通称「落ち葉法」において制定し、大胆な法律のリストラを進めています。
こうした取り組みは、日本にも必要です。法令検索システムによると、2025年6月時点で存在する法律は2100本で、政令や省令を足すと、その数は7500件にも上ります。さらに近年は毎年60~80本の法律が新たに成立し、『六法全書』は改定のたびに厚くなっていく一方です。
どこかで歯止めをかけ、法令の減量を行わなければ、この国の自由はどんどん失われていくことになります。
「自由」とは神からの愛のこと
この時に重要となるのが、国民一人ひとりが「国家に依存せずに人生を生きる」という意識を、どれだけ持つことができるかです。
ハイエクは、「国や社会が個人の面倒を見るようになり、人々がそれに依存するようになる政治は、一見良いことに見えるが、実は『隷属への道』であり、自由の死滅、全体主義への道だ」と警鐘を鳴らしました。国に困りごとを解決してほしいという姿勢が法律や規制を増やし、国に養ってほしいという姿勢が福祉を拡大させ、その裏表として税が重くなっていくのです。
しかし、「人は欲望に引っ張られて堕落するのではなく、神に近づいていく力を与えられている」というのが、欧米で伝統的に語られてきた「自由」の意味であり、本憲法試案を貫く哲学でもあります。大川総裁はこう語っています。
「『自由』とは神の別名であり、神の光の別名なのです。それが、自由です。自由とは、神からの愛のことであり、神の愛が人々に自由を与えるのです。(中略)国家の最終目標は、国民を自由にして、繁栄と幸福に導くことです。これが国家の最終目標であり存在理由であると思います」(*2)
幸福実現党は宗教政党として、この「自由」の真の意味を訴え、「自由の創設」に邁進してまいります。
(*2)法話「Love Surpasses Hatred」

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