2025年3月号記事

石破首相よ目を覚ませ!

トランプに続き「脱炭素」からの撤退を

米トランプ政権が「パリ協定」から離脱し、世界の脱炭素運動は転換期を迎えている。
日本もエネルギー政策を大転換させる時だ。

「日本の電力の4~5割を再生可能エネルギーで賄う」

"狂気"の内容とも言える「第7次エネルギー基本計画」を、石破政権はこのほど閣議決定する。2023年時点で2割を占める再エネを、40年までに倍増させるプランだが、再エネの半分(1割)は現状、水力なので、太陽光・風力発電の導入量は倍では済まない。

必要となる太陽光は現状の3.6倍で、愛知県の面積に相当する。風力は9.1倍必要で、50階建て超高層ビルに相当する200メートル級風車を、約4500基建てなければならない(*)。

電気代の高騰、停電危機、環境破壊──すでに国民生活に多大な犠牲を強いている発電施設を、さらに加速度的に増やす恐ろしい計画だが、石破政権はこれを裏付けとして、「2040年のCO2排出量を13年度比で73%削減する」という新たな政府目標をまとめた。

この2月、脱炭素の総本山である「パリ協定」に提出するためである。

(*)日経新聞による試算。

パリ協定は「核なき世界」レベルの空文に

だがその「パリ協定」からは、世界第二位のCO2排出量を占めるアメリカが、トランプ政権下で離脱する。「それでも脱炭素の潮流は止まらない」と強弁する論者もいるが、世界の温暖化交渉に何が起きているのか気づいていないか、見て見ぬふりをしているだけだ。

各国政府や国連関係者は表立っては言わないが、世界の大半はもう気づいている──パリ協定はすでに破綻し、国際会議で「核なき世界」の理想を讃え合うのと近いレベルの外交儀式になりつつある。

 
次ページからのポイント(有料記事)

日本だけが気づかない「パリ協定」はもう死に体/キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹 杉山 大志氏

人智を超えた自然変動を無視した「CO2温暖化説」は崩れつつある/筑波大学名誉教授 田中 博氏

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