《ニュース》
台湾総統選の投開票が来年1月13日に迫る中、中国当局は台湾を代表する人気ロックバンド「メイデイ(五月天)」に圧力をかけ、親中的な発言をするよう迫っていたと見られています。ロイター通信が28日、台湾安全保障当局の内部文書や事情に詳しい消息筋への取材などに基づき、報じました。
《詳細》
ロイター通信の報道によると、中国の国家ラジオテレビ総局はメイデイに対し、「台湾は中国の一部である」という中国の主張を公式に支持するよう要求したといいます。
報道によると、メイデイ側がこれを拒否したため、中国・上海当局は、メイデイが今年11月に上海で行ったツアーで、実際は歌っていないのに歌っているように見せかける「口パク」を行っていた疑惑があるとして調査と罰金をちらつかせました。そして12月3日、法令違反の疑いでメイデイへの調査に着手すると発表しました。メイデイ側は「悪意のあるデマと誹謗中傷だ」として口パク疑惑を否定しています。
中国では2008年から、「プロの歌手などが口パクを行うことは聴衆を欺く行為」だとして、口パクが処罰対象とされています。違反した場合は罰金が科され、ライブなどの開催が禁止される可能性があります。
台湾で対中政策を担う行政院大陸委員会は、中国からのメイデイへの圧力について事実関係を調査中としつつ、「事実であれば選挙への介入が目的なのは明らかだ」と指摘しました。また与党・民進党は、中国が手段を問わずに、全力で総統選と立法委員(国会議員)選の投票に影響を与えようとしていることを改めて浮き彫りにしたと、批判しました。
中国で対台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室は、中国政府がメイデイに圧力をかけたという疑惑は民進党が広めている「偽情報」であり、「悪意ある政治工作だ」と述べています。
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