2023年11月号記事

地域シリーズ

福島・宮城・山形

「原発アレルギー」の克服が南東北を強くする

処理水・太陽光・風力の奥にある問題に迫る

「原発アレルギー」の反動で、太陽光や風力発電の設置が進む。
だが、各地では、新たな問題が起きている。
東日本大震災から12年半が過ぎた今、南東北の発展のカギに迫った。


「お金とか、そういう問題じゃないんです」──。

福島県の浜通り地域の自治体に勤める男性は、語気を強める。

8月24日、福島第一原子力発電所から処理水の海洋放出が始まると、中国は日本の水産物の輸入停止を宣言。韓国でも、文在寅前大統領の出身政党で最大野党の「共に民主党」が旗振り役となり、放出反対の集会やデモを行った。福島の処理水より、中国は秦山第三原発から6.5倍、韓国は月城原発から3.2倍のトリチウム濃度の処理水を流しているにもかかわらずである。

男性は続ける。

「日本政府は、地元に『処理水は安全です』『風評被害が起きないようにします』などと説明しておきながら、いざ外国に批判されると弱腰で歯切れが悪い。何かあるたびにすぐお金で解決しようとしますが、それは税金です。もっと本気で外国と戦ってもらわないと。そうでなければ我々に嘘をついていたことになります」


中国や韓国野党には処理水が安全か否かは問題ではない

そもそも、中国や韓国野党の反発は純粋なものではない。

放出前の6月、韓国駐在の邢海明・中国大使は、「共に民主党」のトップ、李在明代表を夕食会に招き、海洋放出阻止に向けて協力していくことで一致(*1)。

3月にも、「共に民主党」の支持母体である韓国最大の労働組合「全国民主労働組合総連盟」の幹部ら4人が、北朝鮮の工作機関と連携して処理水問題で反日感情を煽り、日韓両国を対立させようとした国家保安法違反容疑で逮捕されている(*2)。

中国や韓国の野党にとって、処理水が安全か否かは問題ではなく、日本を揺さぶる「外交カード」に過ぎないのだ。

(*1)2023年6月10日付産経新聞
(*2)2023年4月8日付産経新聞

 

次ページからのポイント(有料記事)

福島の処理水はまったく安全! / 高田純氏インタビュー

原発アレルギーの反動で、太陽光や風力の問題が噴出している

原発の安定した安い電気は、市町村や家庭のお財布にも大事です / 山科春美 山形県新庄市議会議員

南東北から発する「光」が日本に広がる

恐怖心を煽った以上の熱量で、マスコミや政府は「福島は安全」と伝え続けてほしい / 会田百合子 福島県小野町議会議員