2023年8月号記事

値上げが止まらない

食卓を襲う食糧危機の本質

スーパーやコンビニなどでは、食品がどんどん高くなっている。
食料は生活必需品であり、削りづらい。なぜこのような事態が起きているのか。


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多くの人を悩ませたのは、スーパーの棚で空っぽになった卵である。

長らく「1パック200円前後」だった卵の価格が急騰し、さらには品薄にまでなり、「お一人様一個まで」と書かれた張り紙を見て、うんざりさせられた人はかなりいるだろう。

店頭に並ぶ他の商品の値上げも尋常ではなく、値札を見て買い控えた経験は一度や二度ではあるまい。

主要食品メーカー195社が今年値上げする商品はすでに2万品目に達し、年内にも3万品目を超える予測すらあるなど、昨年を上回る値上げのハイペースが続く(下図)。

帝国データバンクが3月末に「今年度の食費負担は昨年度より1世帯当たり約2万6千円増える」と試算結果を発表したが、値上げ品目がそれより急増している今では、さらなる負担増になっていると見ていい。

「再値上げ」や値段はそのままで内容量を減らす「実質値上げ」を含んだ値上げラッシュは、長期化するかもしれず、収束する気配は今のところない。

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次ページからのポイント

農業危機が食糧危機に直結

「卵は1パック300円」が当たり前になる / 資源・食糧問題研究所代表 柴田 明夫氏インタビュー

衰退する農業を復活させる! / アジア成長研究所特別教授 本間 正義氏インタビュー