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「デジタル円」発行時の制度設計を検討するため、政府はこのほど、有識者会議の初会合を開きました。

《詳細》

日銀は「現時点で発行する計画はない」としつつも、「デジタル円」発行の「技術面」での可能性・課題を検討すべく、2021年より実証実験を進めてきました。そしてこの4月には、民間企業なども交えた最終段階である「パイロット実験」に移行します。

こうした中、財務省は21日、技術面ではなく「制度面」での課題などを整理する有識者会議の初会合を開催。「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」の諸外国における検討状況や、発行時の影響などについて議論が交わされました。

報道によれば、出席した委員からは、「発行することになれば歴史的な転換点となる」「災害が多いといった日本の特徴を踏まえる必要がある。現金は火事で焼失するリスクがある」といった前向きな発言があった一方、「個人情報やプライバシーの保護をどう考えるか」「制度設計にあたっては金融システムへの影響を勘案していくことが重要」といった指摘も出たとのことです。

「デジタル円」は、法定通貨の「円」を電子データとして発行するものです。

これまでの電子マネーは、円そのものではなく、あくまで円に基づいて、プリペイド・チャージやクレジット決済などにより、企業が発行したものです。それに対して「デジタル円」は、同じくスマホなどで素早く取引ができますが、日銀が発行・保証する円そのものとなります。

「当局がお金の取引を補足でき、脱税・マネーロンダリング対策につながる」「社会の現金利用が減れば、金融機関などの現金保管コストが削減できる」「個人間の送金が、スマホを使って容易にできる」などのメリットが強調されています。

このCBDCについては現在、世界における114の国と地域で検討がなされており、10カ国以上で実際に導入されています。

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