《ニュース》

米シリコンバレー銀行(SVB)が経営破たんし、金融危機に波及するのではないかとの不安がくすぶっています。そうした中、破たんの引き金となった預金取り付けが、オンライン上で発生したため、未曽有の速度となったことが注目を集めています。

《詳細》

米中堅のシリコンバレー銀行が10日、急激な預金流出により経営破たんしました。破たんした銀行の規模としては、米国史上2番目とのことです。これをきっかけとして信用不安が広がり、経営破たんや経営危機が他の銀行にも及んでいます。今後、さらなる金融危機に発展するのでは、との懸念がくすぶっています。

シリコンバレー銀行破たんの直接の発端は、同銀が発表した損失計上や増資案です。これを受けて、経営状況を不安視する声が広がり、多くの顧客が一斉に預金を引き出しました。

この現象自体は、古典的な取り付け騒ぎの構図です。歴史上の銀行破たん時には、街中に経営危機の噂が広がり、人々が銀行の前に長蛇の列をなす──という風景が見られました。ところが今回特徴的だったのが、事件がほとんどオンライン上で起きたということでした。

シリコンバレー銀行の経営状況を不安視する声は、投資家らがツイッターなどSNSに上げた投稿でした。これが瞬時に拡散され、一瞬で不安が広がりました。

さらに顧客らは、預金の引き出しを主にオンライン経由で行いました。これは銀行窓口やATMなどに行く必要もなく、手元のスマホやパソコンから数クリックで行えます。

これらにより同銀からは、たった1日で約5兆6000億円(420億ドル)という驚異的な速度で預金が引き出されました。

このことから、デジタル時代の金融危機に対応する難しさへの認識が広がっています。イエレン米財務長官も「ソーシャルメディアによって預金の流出に拍車がかかれば、銀行が破たんの危機にさらされる」と議会公聴会で強調。米銀シティグループのジェーン・フレーザーCEOも、数回のクリックで数百万ドルを動かせるモバイルアプリケーションの登場で、銀行取り付けに対する銀行や当局の対処法が大きく変わった、とコメントしています。

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