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イスラエルのベネット元首相が、ロシア―ウクライナ戦争の初期の時点で、プーチン大統領とゼレンスキー大統領が和平合意まであと一歩だったにもかかわらず、欧米の圧力を受けて阻止されたと明かしました。4日に公開されたイスラエルメディアのインタビューで語りました。

《詳細》

22年2月に特別軍事作戦が開始された後、ベネット氏は、ロシアとウクライナの仲介役を思わぬ形で買って出ました。同氏は約5時間に及ぶインタビューで、交渉の舞台裏を明らかにします。

ロシアとウクライナは現在、相手方に停戦の意思がなく、戦争を継続せざるを得ないと主張しています。ところがベネット氏によれば、同年3月下旬に交渉していた「イスタンブール合意案(コミュニケ)」が実現しかけていたものの、欧米がそれを阻止したと語っているのです。

ロシアは和平の前提条件として、特別軍事作戦で掲げていた「非ナチ化」を取り下げました。ベネット氏によると、「非ナチ化はゼレンスキー氏の排除」を意味しており、プーチン氏はゼレンスキー氏を「殺すつもりはない」と確約。ゼレンスキー氏から「確かなのか?」と確認されたといいます。

そしてプーチン氏は、ウクライナに対する「非軍事化」の要求も撤回し、ゼレンスキー氏は北大西洋条約機構(NATO)への加盟を断念すると約束しました。ベネット氏によれば、ロシアが特別軍事作戦を開始した本当の理由が、このNATO加盟問題だったといいます。

しかしベネット氏によると、欧米の指導者は和平に対する努力とは異なるアプローチをとったといいます。イギリスのジョンソン首相(当時)が「攻撃的な路線」をとり、ドイツのショルツ首相とフランスのマクロン大統領は「より現実的」な姿勢を見せ、アメリカのバイデン大統領は、その「両方の立場」を示していたようです。

「欧米がプーチンを殴り続け、交渉しないという判断があったと思う」と語ったベネット氏は、インタビュアーから「(欧米によって)和解が阻止されたのか?」と問われると、「基本的にはそうだ。彼らがそれをブロックした」と答えました。

一方、ベネット氏の発言を受け、ウクライナのクレバ外相は今月5日に「プーチンはクリミアを占領しない、ウクライナを侵略しないと約束したが、全て実行した。ウソの達人だ」と反発したものの、同氏の発言の真偽には触れませんでした。

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