2023年3月号記事

米民主党政治の闇

神を追放した民主主義の末路

米民主党はアメリカをどこに導くのか──。
アメリカの民主主義が辿る未来を探った。

アメリカで「言論封鎖」が加速度を増している。

特集「監視国家があなたを狙う」でも取り上げたが、ツイッター上で保守派の声が恣意的に封殺され、その背後にバイデン民主党政権の関与・指示があったことが判明している。

国民から判断材料を奪う左派陣営

2020年の大統領選直前、バイデン氏の息子・ハンター氏の汚職疑惑が報じられたが、民主党陣営は「ロシアによる偽情報」と猛反撃し、ツイッターとフェイスブックは同記事を検閲した。既に疑惑が事実であり、副大統領当時のバイデン氏が関与した可能性が極めて高いことが判明している。保守言論人のジョシュ・ハマー氏は「バイデン氏に投票した16~17%の人が、疑惑を知っていれば投票先を変えたと言う」「これは大きなスキャンダルだ」と指摘する(*1)。

この度明かされたツイッターの内部文書によると、検閲に先立ち「情報機関による組織的な働きかけ」が同社になされたという(*2)。FBIおよび他の法執行機関はツイッター幹部に対し、ハンター氏の汚職疑惑記事を「ロシアによる『情報漏洩作戦』」として退けるよう繰り返し要求。文字通り、民衆に施政の詳細を知らせる必要はないとばかりに「由らしむべし、知らしむべからず」を実践してきたことになる。このような政府の検閲行為は、言論の自由を保障した憲法修正第一条の違反だ。なお、ツイッターによる検閲が「国家行為」だったかという争点について、米イェール大学ロー・スクールのルーベンフェルド教授は判例に基づき、自発的に企業が政府と共同行為をとった時点で「国家行為」となり、憲法違反だと論じる(*3)。民間企業を隠れ蓑にして、国が検閲をできたら、言論の自由など簡単に失われてしまうからだ。

トランプ前大統領のツイッターアカウントが永久凍結されるに至った"圧力"を巡っても、議論が噴出している。

21年1月8日、ツイッターはトランプ氏のアカウントを「永久凍結」したと公表した。6日の議事堂襲撃について「暴力を扇動したため」としたが、ツイッターの内部文書によれば、凍結は社内規定を無視した異例の処置だったという(*4)。「社内外からの圧力」が働いたとのことだが、当時"トランプ排除"の急先鋒の一人となったのが、オバマ元大統領の妻・ミシェル氏だ。凍結の前日、SNS空間からトランプ氏を追放するよう求める声明を発表。当時のツイッターCEOのジャック・ドーシー氏が社員に規定遵守を呼びかけるも、永久凍結が断行された。

公的空間から言論の自由を消滅させれば、民主主義国家ではなくなる。それを危惧したトランプ氏は、デジタル空間にも自由を取り戻すため、「デジタル権利章典」を可決する時が来たと訴えている(*5)。

(*1)23年1月11日付FOXニュース。
(*2)米ジャーナリスト、マイケル・シェレンバーガー氏が昨年12月に公開した第4、7弾目の「ツイッター・ファイル」など。共和党上院議員のロン・ジョンソン氏にもたらされた内部告発によると、汚職疑惑記事に先立ちハンター氏のパソコンを入手していたFBIは、選挙に影響することを恐れ、あえて調査を避けたという。
(*3)23年1月4日付米ウォール・ストリート・ジャーナル紙。
(*4)そもそも凍結に先立ちツイッターは、トランプ氏が投稿した、議事堂を囲む抗議者に帰宅を呼びかける動画を削除。自己矛盾が否めない。
(*5)昨年11月、大統領選への出馬を表明した際、政策として打ち出した。権利の章典はイギリスに起源を持ち、トランプ氏の掲げる「デジタル権利章典」とは、デジタル空間における言論の自由を、守るべき国民の基本的権利として憲法修正条項に加憲することを意図している。

 

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