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香港政府はこのほど、6月末の人口が729万1600人となり、1年前と比べて12万1500人減ったと発表しました。統計を遡(さかのぼ)れる1961年以降で最大の減少幅になりました。

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香港の人口は、国家安全条例の制定に対する抗議デモが展開された2002~03年の一時期を除いて増え続けていましたが、20年以降、減少に転じています。今年6月末の人口は、19年末と比べて22万8900人減っています。

香港政府の報道官は「パンデミック(世界的大流行)に関する検疫規制が人材流入に影響を与えた」とした上で、香港への人口流入も「低水準にとどまっている」と説明しました。また、「仕事や進学、移住などさまざまな目的で香港に出入りする居住者がいる。国際都市である香港の人口は常に流動的だ」と述べました。

一方、イギリス、カナダ、オーストラリアの3カ国だけでも、国家安全維持法施行後に、少なくとも約12万6000人の香港人に対して移民の許可を出しています。イギリス政府は、特別ビザの発給を始めた21年1月末からの5年間で、25~32万人が移民してくると予想しています。

香港大学の葉兆輝教授は香港メディアに対して、「人口の流出は、(弾圧を強める政府への)警告だ」として、この傾向は1~2年続くと指摘。移民する人の多くは、民主化運動の中心となった若者や高学歴者だとして、人口流出の増加が続けば将来の労働力や税収の減少につながると主張しています。

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