2022年7月号記事

ニッポンの新常識

軍事学入門 24

弱犬の日本がロシアに喧嘩を売るな

社会の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」について専門家のリレーインタビューをお届けする。

元陸上自衛隊小平学校
副校長

矢野 義昭

矢野義昭
(やの・よしあき)1950年、大阪府生まれ。京都大学卒業後、一般幹部候補生として陸上自衛隊に入隊し、第1師団副師団長兼練馬駐屯地司令などを歴任。元陸将補。現在、(財)日本安全保障フォーラム会長、日本安全保障戦略研究所上席研究員、防衛法学会理事を務める。著書に『核拡散時代に日本が生き延びる道』(勉誠出版)など多数。

国際政治の現実は、強い者が勝ち、勝者が歴史をつくります。もし日本が、ロシアと比べて弱者のウクライナを救いたいなら一緒に滅びるリスクを背負うべきですが、そんな気はないでしょう。

孫子の兵法には「小敵の堅は、大敵の擒なり」とあり、弱国が大国に戦いを挑むことが強く戒められています。その弱国が今の日本に当たり、ロシアだけでなく、中国と北朝鮮を同時に相手にすれば、身を滅ぼします。

アメリカの核は中露に劣勢、
非核三原則は時代遅れ

アメリカの核戦力はロシアより劣勢であり、中国とロシアが組めば勝ち目はありません。