2022年3月号記事

地域シリーズ 千葉

台湾危機は日本の危機

千葉から、台湾を護る!

中国の恫喝が常態化している台湾。
軍事による台湾統一が現実味を帯びる中、近年、台湾との関係を深める千葉県から、台湾を護るにはどうすべきかを考えた。


台湾は中国からの侵略の脅威にさらされ続けている。記憶に新しいのが、2021年10月4日、台湾の防空識別圏に、中国軍の戦闘機や爆撃機など計56機が侵入したことだ。中国軍は台湾周辺の海域でも大規模な演習を繰り返している。

さらに、中国は台湾と国交がある国に圧力をかけ、断交させている。21年12月には中米・ニカラグアが「台湾と断交する」と発表。中国と国交を結び、台湾の大使館を中国に譲渡した。日本は1972年、中国との国交を結ぶと同時に台湾と断交しており、以来、正式な国交はない。

そんな中、千葉県は台湾との関係を近年強めている。県や市町などの自治体や民間など、さまざまな分野で台湾との交流が活発化する千葉の姿勢、迫りくる台湾有事が千葉や日本に与える影響、そして台湾を護るために、一人ひとりができることについて調べた。


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鉄道・空港

  • いすみ鉄道と台湾集集線は2014年より姉妹提携を結び、17年には銚子電鉄と台湾鉄路管理局の蘇澳線も姉妹提携を締結している。

  • 16年、成田市と桃園市が友好都市協定を結び、成田空港と桃園空港も姉妹空港覚書を締結。両市は観光や文化交流などを、両空港は定例会議や人事交流などを図る。友好協定締結3周年となる19年には鄭文燦・桃園市長一行が千葉県の森田健作知事(当時)を表敬訪問。文化・スポーツ・教育など幅広い分野で交流を進めている。

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台湾集集線と姉妹提携を結ぶ、いすみ鉄道。

ビジネス・観光

  • 新型コロナウィルス発生以前、県のマスコットキャラクター・チーバくんのラッピングバスを台湾・台北市などで運行。着ぐるみによるファンミーティングや現地イベントへの参加など、活発に活動している。

  • 館山市は16年から台湾に向けた観光誘致活動を本格化。台湾人女性を商工観光課に配属し、繁体字の観光Webサイトの立ち上げなどを実施。17年には在日台湾人ビジネスマンで組織する「日本台湾商会」が館山で総会を開催するなど、交流が広がっている。

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繁体字版の館山市観光協会Webサイト。

教育

  • 21年6月、東京五輪の台湾のホストタウンとなった銚子市に、台湾バナナ500本が贈呈された。バナナはカップケーキに調理され、公立小学校11校で提供された。

  • 21年11月、「地方創生」に関する大学連携の国際発展を目的に、千葉大学をはじめとする日本の4大学と台湾の6大学が「日台大学地方連携及び社会実践連盟」を発足させた。

  • 館山市では20年から台湾学生らによる作品展を開催。21年11月には「2021館山市第2回台湾学校作品展」に台北駐日経済文化代表処(大使館に相当)の李世丙副代表が訪れ、金丸謙一・館山市長とともに観覧した。

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台湾の特産品の一つ、台湾バナナ(画像はイメージ)。

※掲載したものは一部であり、千葉県各地で活発な交流が行われている。
写真提供:ピクスタ

 

次ページからのポイント

台湾有事で日本はどうなるのか

幸福実現党・千葉県本部の署名活動

日本安全保障戦略研究所研究員 邱 伯浩氏インタビュー