2022年2月号記事

ニッポンの新常識 軍事学入門 19

核武装は台湾にとっても有効な手段


社会の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」について専門家のリレーインタビューをお届けする。


元台湾陸軍少将

張 俊達

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(ヂャン・ジュンダー)中華民国陸軍軍官学校正期班58期、国防大学戦争学院正規班97年班、陸軍機械化歩兵第234旅少将旅長、陸軍東引地区指揮部少将指揮官、南部地区総合測考中心少将指揮官などを歴任した。

台湾が直面している主な脅威は、中国共産党(以下、中共)の武力です。特に中国は、強力な通常兵器とは別に、世界3位の核保有国です。

台湾と中共の軍事力の格差はあまりに大きく、危機はかなり迫っています。台湾が安全を確保し、戦争の勝敗を決める武器を持つのであれば、核武装は目指すべき国家目標となります。

実際、中国が核保有に踏み切った1960年代に、台湾も同様の対応を取ろうとしました。しかし、研究チームの離反による情報漏洩やアメリカの介入を受け、断念せざるを得なくなりました。その結果、台湾海峡は今や世界大戦の発火点の一つになっています。これは非常に残念なことです。

小国が大国から身を守るには、核兵器はとても重要な手段です。国防の観点から言えば、「中共軍に簡単に戦争を起こさせないように、いかに台湾の平和と安定を維持するか」が大事となります。私個人としては、バックアップとして核兵器を持つことは最良の選択肢だと思うのです。

しかし台湾は、福島の原発事故を目撃し、地震が多い国でもあることから、与党の民進党や市民団体を中心に「脱原発運動」が盛り上がっています。現状では、核保有に対する国民的な合意が得られにくい状況です。