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バイデン米政権で気候変動問題を担当するジョン・ケリー大統領特使に対して、即時解任を求める声がアメリカ国内で強まっています。

《詳細》

米保守系メディア「ワシントン・フリー・ビーコン」が、ケリー氏の資産公開情報を調査したところ、ケリー氏と妻のテレサ・ハインツ・ケリー氏が、中国の投資ファンド・Hillhouse China Value fund(ヒルハウス・チャイナ・バリュー・ファンド)の株を、少なくとも100万ドル(1億1千万円)分保有しているということが判明しました(10月14日付)。

同メディアがスクープしたところによると、この巨大投資ファンドが実は、トランプ前政権によって2019年10月、新疆ウイグル自治区での監視・抑圧・拘留に関与したとして、米商務省のエンティティー・リスト(取引制限リスト)に追加された中国AI企業・Yitu Technologies(イートゥー・テクノロジー)の最有力株主だったとのことです。

つまり、中国政府と何度も交渉をしてきた大統領特別大使が、外交・安全保障上問題がある企業に対して、間接的に資金援助をしていたということです。

さらに、ケリー氏が約1億円分の株を保有する中国巨大ファンドは、ウイグルの強制労働によって製品を生産しているとされる中国の太陽光パネルメーカー・LONGIソーラーについても、二番目に有力な株主となっていることも明らかになっています(25日付ワシントン・フリー・ビーコン)。

当然のことながら、米保守層からは強い批判の声が上がり、共和党の上院議員はバイデン大統領に対し、ケリー氏の解職を求めました。

加えて、今回の中国の太陽光パネル企業とも関係があったという新事実の発覚により、「ケリー氏が『気候問題担当大統領特使』という立場を利用して、中国産太陽光パネルへの輸入規制を阻止しようとしているのではないか」という疑惑も持ち上がっています。

中国からアメリカが輸入している太陽光パネルの原材料が「ウイグルでの強制労働によって造られている」という批判を受け、バイデン政権は今年6月、関連する中国の原材料メーカー5社に輸入制限を下しました。しかし、中国産の太陽光パネルに対する包括的な制裁に踏み込むことには足踏みしています。

煮え切らない政府の態度に対し、議会からは批判の声が上がっており、すでに上院では超党派で強制労働によってつくられた中国製品の輸入を禁じる法案が可決されています。

しかし、共和党のマルコ・ルビオ上院議員によると、ケリー氏がこの法案を下院で通さないよう、熱心にロビー活動を行っているというのです(25日付ワシントン・フリー・ビーコン)。

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