《ニュース》

世界的なエネルギー価格の急上昇が、各国経済を直撃しています。

火力発電所の燃料などに使われる天然ガス(LNG)の価格が10月初旬に、去年の同時期と比べて10倍を超える値をつけました。また日本のガソリン価格は7週間連続で値上がりし、18日時点の全国平均価格は、1リットル当たり164.6円となっています。

《詳細》

エネルギー価格の急騰は、さまざまな要因が複合的に重なっています。

まず中国では、北部で発生した豪雨の影響により、現地の主要な石炭生産拠点が甚大な被害を受けました。このため中国の各省は、電力使用の制限や一部の工場の生産停止を厳命。温暖化対策で二酸化炭素の排出削減を目指し、炭鉱の生産を縮小しているタイミングで、豪雨が生産拠点を襲ったのです。

石炭の供給不足と価格の急騰を受け、中国政府はLNGを爆買いしています。今年1~9月までの輸入量は、世界最大の輸入国である日本を初めて超えました。中国という巨大な買い手がLNG市場に登場したことで、LNG価格は急騰します。

またヨーロッパにおいても、洋上風力の落ち込みなどの天候不順により、再生可能エネルギーの発電が思うように行われませんでした。そのため各国は、石炭などに比べて温暖化ガスの排出が少ないLNGに切り替え、エネルギー価格上昇の要因を招いています。

石炭やLNGの価格上昇は、石油市場にも影響を与えます。産油国が石油増産などで価格の調整の動きを見せなかったことから、石油価格が上昇しているのです。

供給サイドだけではなく、需要サイドの変化も、エネルギー価格に影響しました。インドなどでは、ロックダウン後の経済活動の再開で、産業界向けの電力需要が急増。日本も緊急事態宣言の解除で、今冬のガソリン需要が増えると見られています。

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