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ロシアのウラジミール・プーチン大統領は3日、ウラジオストクで開催された「東方経済フォーラム」の全体会合で、北方領土に経済特区を創設することを表明しました。

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同フォーラムでプーチン氏は、クリール諸島(北方四島を含む千島列島)を最も競争力のある地域にするとし、関税などの主要な税を10年間免除する旨を述べました。国内企業だけでなく、日本を含む外国企業にも適用されます。

この発表は日本政府にとってかなり頭の痛いものと言えます。

日露両政府は2016年、平和条約締結に向けた「重要な一歩」として、北方領土における「共同経済活動」を推進する方針を決めました。しかしこの経済活動は、北方領土について主権を主張する「双方の法的の立場を害さない」という条件がついていました。結局、両国の北方領土をめぐる意見の相違から、具体化に向けた協議が進んでいませんでした。

そんな中で発表された同特区構想は、「ロシアが主導して、ロシアの法律にもとづいて経済開発し、外資を誘致する」ことを意味します。日本側の"法的な立場"を破るものであり、「実効支配の強化」と批判する声もあります。

これはプーチン氏が、なかなか交渉が進まない日本に揺さぶりをかける狙いがあると見られます。一方、月内の下院選を控え、極東経済の梃入れをアピールすると同時に、対日交渉において強く出ることで、保守層にアピールする狙いもあるとも見られます。

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