2021年9月号記事

なぜここまで残虐なのか

習近平 徹底解剖


世界史を揺るがす「中国共産党王朝」の皇帝、習近平国家主席。通俗的な説とは大きく異なる、「新しい習近平論」を紹介する。

「習近平体制になった2012年以降、中国は明らかに他国への恫喝行為を強めています」

中国政治について詳しい台湾・中山大学教授の郭育仁氏はこう語る(インタビュー参照)。

中国共産党が今年7月に結党100周年を迎えた今、習氏は「皇帝」への地歩を固めている。同党の68歳定年制の慣例を破り、来年秋の党大会で3期目の共産党総書記になることが、現時点では確実視されており、「終身のトップ」として君臨するつもりである。

習氏がトップに就いて以来、世界に対する中国の影響力は格段に増している。

ウイグル族などへのジェノサイド(民族浄化)、尖閣諸島や台湾、南シナ海などへの侵略の加速、経済圏構想「一帯一路」の異常な拡張など、常軌を逸した行動が目につく。

中国では、大きな王朝が誕生しては消えてきた歴史がある。しかし、「人類の脅威」として本格的に論じられる大中華帝国が現出したのは、中東・アジアから東ヨーロッパを支配し、日本にも侵略戦争を仕掛けてきた元朝以来だろう(インタビュー参照)。

今回、共産党の問題点を象徴しているとも言うべき「残虐さ」「征服欲」「狡猾な騙し」という3つのパートに分けて、習氏を徹底分析し、氏の本性に迫る。

後述する問題は、習氏が頂点に立つ前から実行されてきたものも含まれてはいる。

だが、「末端の仕事には全てトップ1人の性格と考え方が反映されている」という全体主義国家の特徴を踏まえれば、中国が今行っている政策は全て、習氏の価値観に基づいていると考えるべきであり、その意味で本特集はまさに、「習近平 徹底解剖」となるだろう。

 

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