2021年9月号記事

なぜここまで残虐なのか

習近平 徹底解剖


世界史を揺るがす「中国共産党王朝」の皇帝、習近平国家主席。通俗的な説とは大きく異なる、「新しい習近平論」を紹介する。

パート2 征服欲

中国は魚を根こそぎ奪い、生態系を破壊

ここからは、中国の並外れた征服欲に迫る。中国の資源を求める欲は

あまりに深く、地球の生態系が脅かされている。

中国漁船の違法操業問題は、日本周辺や南シナ海だけでなく、地球の裏側でも発生しており、各国は「事実上の戦争行為だ!」と憤慨している。

アジアから遠く離れたアルゼンチンではここ数年、数百隻もの中国漁船が、レーダーに捉えられないよう位置情報を発信せず、イカを大量捕獲。アフリカの大西洋側でも、魚を根こそぎ奪い、現地の漁師を干上がらせている。

悪質なのは、中国漁船が船名を偽装(例えば、ペンキで船名を塗り潰す、布で覆い隠す、他国の国旗を掲げる)したり、大船団で操業して警察に手を出させないようにしたりすることだ(海上民兵と見られる漁船が、中国の調査船を護衛する例もある)。これらはまさに海賊を彷彿とさせる。

中国政府は違法操業への関与を否定しているが、莫大な補助金を与えて強力にバックアップ。14億人の胃袋を満たすことを目的としつつ、"中国の海"を広げる先兵として利用しているのだ。

中国漁船は中国海警局の監督下にあり、当局は漁船の位置を逐一把握している。このことから、国家による組織的犯罪であることは間違いない。

さらに驚くべきことに、中国は海外での漁獲量を過小報告し、実際は12倍以上漁獲している疑いがある(*)。真面目にルールを守る日本などはバカを見るようだ。

これに対し、国際的な規制強化を求める動きが強まっている。しかしルールを作ったとしても、中国がねつ造データを提供することは確実であり、規制も骨抜きにするだろう。これを見張るべき国連食糧農業機関(FAO)のトップは中国人であり、事実上買収されていると見た方がよい。中国は漁民による「侵略」を地球規模で行っている。しかし今のところ、効果的な対処法がないのが実情だ。

(*)少し古いデータだが、2013年3月23日に発表された論文「China's distant-water fisheries in the 21st century」。

 

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